月ヶ瀬梅渓2007
今年の「電車 & ウォーク」による独り旅のテーマを「花の旅」と題して、まず手始めに、前回は「石山寺」の観梅へと出かけたのですが、今回はもう一つ、関西での観梅で名高い「名勝月ヶ瀬梅林」へと出かけてみました。
2007年3月17日(土) 晴れ
このシーズンは花粉症の真っ只中で、例年は外出を控えてきましたが、家に引きこもってばかりいても特別症状が和らぐこともなかったので、今年からは思い切ってポケットティッシュを忍ばせてはお出かけをすることにしたのです。帰宅後に少し症状が酷くなりますが、何かをして「思い出」を残す方が時間を無駄にせずに済むような気がします。
花粉症をおして始めた「花の旅」は、今回がまだ二度目ですが、もうすっかりはまってしまいました。そして訪れた再びの観梅は、未だまだ見ぬ「名勝月ヶ瀬梅林」への日帰り小旅行と相成ったわけです。 この日も天気は快晴で、少し風が冷たく感じましたが、やっぱり来て良かった!さすがに名勝と言われるだけのことはありました。
月ヶ瀬へのアクセスは、JR関西本線を利用して「月ヶ瀬口」駅まで行き、そこから、観梅用の臨時バスで約20分かかります。天候に恵まれたことからか、朝早くから定年退職組の団体さんや多くの家族連れで賑わい、バスは満員の状態で月ヶ瀬村へと出発です。
観梅シーズンは臨時の「尾山口」バス停が設けられ、ここから山を下るように「月ヶ瀬梅渓」の入口へと向かいます。「月ヶ瀬梅渓」とは、月ヶ瀬の梅園全体の総称で、その中に「月ヶ瀬梅林」や「帆浦梅林」、それに「天神梅林」等があります。
臨時の「尾山口」バス停から約10分程で「月ヶ瀬梅渓」入口に到着です。観梅散策の道沿いにはたくさんの出店が軒を連ね、梅にちなんだ色々なお土産が販売されています。中でも焼きたての「草もち」が良く売れていました。私も一つ食べながら歩いたのですが、とっても美味しかったので、ワンパック(5個入り)をお土産に買いました。
しばらく坂道を進むうち、どこで道を間違えたのか下の道路に出てしまいました。ふと振り返ると「名勝月ヶ瀬梅林」と彫られた石柱が立てられているのに気付きました。ネットで印刷した持参の「月ヶ瀬ウォーキングマップ」で調べてみると、途中で右に入らずに真っ直ぐ下りてしまったことが原因でした。
止むを得ず、今来た道を逆戻りすると、ちゃんと順路が書かれた立札がありました。これは、臨時バス停の「尾山口」から梅渓へと入って来たので、散策コースの途中から入ったことになり、一筆書きには廻れなくなってしまったためでした。
これでやっと順序良く廻れます。坂を登り終えると目の前が大きく開け、月ヶ瀬湖(名張川)の渓谷をバックに梅林の花が咲き乱れる絶景に出会えます。これぞ「名勝月ヶ瀬梅林」と呼ばれる素晴らしい景色です。
そこでは、絶景を見下ろしながら食事や休憩ができる「○○茶屋」等と掲げられた茶店がいくつも立ち並び、素晴らしい景色を堪能しながら味わう食事は「最高だろうなぁ!」と思いました。
人が食事をしているのを見ていると、こちらまでお腹が空いてきます。ふと時計に目をやると午前11時40分でした。自宅で朝食を済ませ出発してから既に4時間30分以上経っています。「おう…。お腹が空くはずだ…。」早速、昼食場所を探しながら歩いていると、今度は「帆浦梅林」の案内板がありました。
続いて奥へと進んでいくと「展望台」と書かれた標示があったので、その細い階段を昇ってみると、そこは「真福寺」へと通じる道でした。
このお寺は、高野山真言宗真福寺で、元弘元年(1331)、後醍醐天皇が笠置山から吉野ヘ落ちのびる際、女官の姫若が村人に助けられ、そのお礼に真福寺境内に1本の梅を植え鳥梅(うばい)という紅染の媒染剤の製法を教えたのが、月ヶ瀬梅林の始まりと云われており、今も真福寺の境内には「姫若の梅」と言う古木があります。
真福寺の境内を出て左方向に進んでいくと、名張川を見下ろすように素晴らしい展望が開けています。ちょうどお昼です。ここで昼食を摂ることにしました。展望台の際にはテーブルと石椅子が並べられ、休憩しながら眺められるようにしてありました。
ふと、そのテーブルを見てみると「有料」の二文字が書かれてあります。聞く所によると、この展望台全体が「みおろし茶屋」という茶店で、テーブルセットはそのお店のものだったのです。それならと「ここで素晴らしい景色を眺めながら昼食を摂らせていただくことにしよう。食事やお茶を注文すれば無料なのだから…。」そう決めて注文した「親子丼」は、700円と味の割には割高でしたが、眺めが良い分「まぁいいか…。」と思いました。
食べながら眺望を堪能し、十分休憩させていただいて満足です。続いて梅林の中を散策して行くうちに「月ヶ瀬橋へ」と彫られた小さな石柱がありました。
「ここまで来たら月ヶ瀬橋へも行ってみよう!」という気になって、高齢者の観梅客が引き帰す中を、私だけが前へと進みます。その道沿いでは「たんぽぽ」の花が咲き、春を感じるほどの風景がありました。
そこからは、九十九折の下り坂がしばらく続きます。下りた所が名張川に架かる「月ヶ瀬橋」へと続く道路でした。もうすぐそこに赤い鉄橋の「月ヶ瀬橋」が見えています。橋の向こうの道沿いにも「梅並木」のように植えられて、車中からでも観梅を楽しむことができるように植栽されているようです。
月ヶ瀬梅渓を端から端まで見て廻れたことで、とても満足感というか、充実感に浸りながら、また、ゆっくりと尾山方面へと戻りました。時間は13時10分を過ぎています。帰りのバスの発車時刻は14時00分なので、バスを待つ時間も入れればちょうど帰路に着く時間です。
臨時バス停の「尾山口」への到着が13時30分頃でした。まだ誰も来ていません。ひとり横たわった廃材の電柱に腰を下ろし、持参の「ハッサク」を剥いて食べました。冷たい西風を受けながら待っていると、朝も同じバスに乗り込んだ定年退職組の団体さんが20人ほどのグループで戻ってきました。
団体さんの中には「尺八」を吹く方が一人いて、バスを待つ間、そんなにうまいとは思えない音色が当たり一面に響き渡り、迷惑に感じましたが、仲間同士でも誰一人として止めさせようとする人も無く、バスが来るまで吹き続けるものだから、団体以外の方からは、声にならない小さい声のブーイングが聞こえてきました。
バスは、また20分かけて、もと来たJRの「月ヶ瀬口」駅へと向かいます。バスの中では、口々に同じグループ仲間の「会長」と呼ばれる方の悪口が聞こえてきました。どうやら「宴会場所」がお気に召さなかったようで、それが「会長」の責任にされているようです。団体行動だと、楽しい事がいっぱいあるかわりに、多少の不満もあることは当然のことですから、それは仕方が無いですよね!
その点、独り旅の私には、そんな不満は一切ありません。何が起こっても全てが自分独りの責任ですから…。そんな思いで、独り旅の素晴らしさだけを胸に秘めているうちに、バスは「月ヶ瀬口」駅へと到着です。
JR「月ヶ瀬口」駅は、加茂駅から先のローカル線で2両編成のワンマンカーとなります。観梅シーズンは、観光客で利用者も多いでしょうが、OFF状態でした。花粉症をおして来た「名勝月ヶ瀬梅林」の観梅、そして、絶景の月ヶ瀬梅渓を見下ろしながらの食事と楽しい散策も、あっと言う間の終了です。
これからも続く「花の旅」、次はどんなシーンになることか今から楽しみです。



