北海道2005
【もくじ】
7/15>和歌山~小樽港(省略)
7/16>小樽港~魚松旅館
7/17>魚松旅館~ナイタイ高原牧場~阿寒湖~美幌峠~屈斜路湖畔「のんき舎」
7/18>のんき舎~多和平~野付半島~納沙布岬~帯広「大正カニの家」
7/19>大正カニの家~狩勝峠~麓郷~かみふらの「道楽館」~美瑛~道楽館
7/20>道楽館~美瑛~十勝岳~道楽館
7/21>道楽館~美瑛~道楽館~小樽港
7/23>舞鶴港~和歌山(省略)
北海道ツーリングも3年連続3回目。今年は未だ見ぬ道東へと、野付半島から根室・釧路方面をツーリング。めまぐるしく変化する天候の中を、走り抜いた道内およそ2,000km。新しい感動とたくさんの出会いとともに増える思い出の数々は、ここ北海道でしか味わえないと言っても過言ではありません。道の向こうの遥か丘を越えると、そこではまた新しい感動がこの胸を揺さぶるのです。
(道東~道央)
2005年7月15日~23日
北海道ツーリングも今夏で連続3回目。さすがに3回目ともなると、フェリーの乗船はもう慣れっこです。昨年同様、今年もソロツーリングでの高速フェリーによる小樽港への着港です。
小樽港到着時刻は、昨年に比べて出発時刻が30分遅くなったことから、到着時刻も30分遅くなっています。何が理由で30分遅らせたのかは知りませんが、我々旅行者にとって、この30分の遅れはとても辛いものがあります。それは、小樽到着時すぐの宿泊予約を、事前に済ませておく必要があるからです。それも午後9時以降のチェックインで…。止むを得ず、昨年同様「魚松旅館」にご無理をお願いすることにより、どうにか問題は解決できましたが…。
フェリー内の客室は今年も2等寝台です。2等寝台は、最低限のプライバシーを守れるだけのスペースしか確保されておらず、カプセル状態の非常に窮屈な空間です。そのため、この場にいられるのは睡眠中等の限られた時間だけで、あとはプロムナードやオープンデッキ等で過ごすことになります。
小樽港で下船後すぐに「魚松旅館」へと向かったのですが、玄関前の駐車場には既に車が1台とバイク3台が駐車され、私のバイクの駐車スペースがありません。「魚松旅館」の女将さんは、すぐに車での来客を呼んで、隣の未舗装駐車場への移動をお願いしてくれました。女将さんのご配慮により、私のバイクの駐車スペースが一番広く確保されました。
部屋に案内されて、また驚きました。なんと!ベッドが2セットあるのです。聞くところ、今夜最終の客だから、ダブルの部屋以外に空室はないからとのことでした。でも、なぜか違和感がありました。😅いやいや変な意味じゃなく…。
明朝は4時に起きて、日の出とともにスタートするのが、私の北海道ツーリングの時間有効活用法です。道内での5日間という限られた時間内で、陽のある活動時間帯を如何に有効に活用するかで、ツーリング中の思い出の深さに大きく差が出ることを、自然とからだが覚えているからです。だから…さぁ、今夜も早く休もう!
昨日の走行距離:232.0km
本日の走行距離:7.1km
昨日の燃料補給:15.50ℓ
今回のツーリングは、初日の小樽到着時は別として、今日からの宿泊は、予約なしによる「行き当たりばったり」と言うか、着いた所で宿を探すことにしています。これでもうすべてが自由となりました。「居たい所に居たいだけ居られる。」これが本当のフリーツアー?
午前4時起床、バイクに荷物をくくり付け、横に停めているバイクを見ると、なんと!和泉・香川・それに和歌山も!これらのナンバーを見ている限り、北海道に来ていても、親近感に加えて安心感まで湧くものです。みんな同好の士だから。
さて、出発です。今年は未だ見ぬ道東は「野付半島」を目的地として、まずは、国道5号線に出て札幌を通過し、その後国道274号線を一路「士幌町」へとひた走り、そこから少し北上しては、十勝平野を一望できる「ナイタイ高原牧場」を目指します。
ナイタイ高原牧場は、ナイタイ山(標高1,332m)の麓にあり、ツーリングマップルの「見どころ情報」に、また、アクセス道が「おすすめロード情報」に取り上げられています。行ってみて「なるほど!」と言わせるものがありました。
ナイタイ高原牧場を下りると、そこからは国道241号線に入り阿寒湖へと向かいます。阿寒湖に近づくに連れて見えてくる雌阿寒岳、阿寒富士を眺めながら、オンネトー湖に立ち寄ろうかと思いましたが、時間も既に午後2時、そろそろ今夜の宿探しをしなければ…。
地図を見ながら屈斜路湖畔近くの、これもまたツーリングマップルおすすめの宿「のんき舎」に決めました。早速ケータイから電話を入れようと、バイクを停めてケータイを開くと…おっと!ここは大自然の真っ只中か?電波は圏外です。
止むを得ず一気に阿寒湖まで走り、湖畔にバイクを停めてもう一度ケータイをオープン。ここは阿寒湖畔の温泉街、電波の感度は最高です。「のんき舎」に電話を入れると、快く受け入れてくれました。宿が決まれば心にゆとりが生まれます。阿寒湖をバックに記念撮影とでもいきますか!
「のんき舎」へのチェックインは午後6時。それまでまだ4時間弱もあります。近くで最高のロケーションと言えば「美幌峠」です。4時間あれば、これはもう行くしかありません。一昨年、初めてバイクで北海道を訪れた時、道路の広さに驚き、そして、美幌峠の爽快さに圧巻だった。
こんな心地よさは、バイクツーリングでなければ絶対に味わうことはできません。地を、空気を、パノラマを、肌で感じながら登っていく峠ツーリングの素晴らしさを3拍子合わせ持ったのが、ここ「美幌峠」なのかもしれません。
峠の頂上にある道の駅「くるっとパノラマ美幌峠」で休憩中に、ひとりのご年配の男性が話しかけてきました。和歌山ナンバーのCBRがどうも気になる様子。私はひとりになりたくて、バイクを並べて談義している場所からわざと離して停めたにもかかわらず、声をかけてこられたのは、近くに停めてあるマイカーツアーの人でした。
お話を聞くところ、なんとマイカー単独無寄館(ひとりで宿に泊まらずに…〔私の造語〕)日本一周旅行をしている人でした。仕事を定年退職後、このことを思いつき、買ったばかりの新車(ホンダスパイク)の後席と荷室を大改造!ベッドと棚を取り付けて小型キャンピングカーにしてしまいました。
この人曰く「俗世間から離れての自由奔放の毎日は、その日が楽しく送れれば、もうそれだけで充分なのだ。」と、思いを新たにしたと言うのです。
現役中での稼ぎに執着することの空しさと言うか、自分を見失うほど我武者羅に働いた毎日を、過ぎ去って見て今ゆっくり考えると、自分の人生とは一体何だったのか?」と、思えてくるらしいのです。
だから、お金に執着することなく、また、自分の時間を後回しにして「これが終わったら…こうしよう!あれが済んだら…ああしよう!」と考えるのではなく、いつも自分の時間や家族の時間を大切にして毎日を送らなければ、あとで必ず後悔しますよ!と教えられました。私自身も、そんなものなんだ!と、思いを新たにしました。ええーッ!?思いを新たにしなくても、今で充分に自由奔放の毎日を送ってるって!?😂そうかなぁ?
そんなこんなで、この自由人さんと、1時間は悠におしゃべりしていたように思います。まぁ、何はともあれ、人生は自分の時間が一番大切だってことだね!
そろそろ今夜の宿泊先の屈斜路湖畔「のんき舎」へ行かなければなりません。自由人さんと旅の無事を祈り合い、記念写真を撮ってお別れです。
ひとりになりたくても、ひとりにさせてもらえなかったストレスと、人生の、また自分の時間の大切さを教えられた有り難さが交差して…でも、これって自分の時間を奪われたことにはならないのかなぁ?と、何だか複雑な気持ちが入り混じり、時間の大切さをより深く思い知らされた気がします。そして、やってきました「のんき舎」という名の旅人宿。
午前4時過ぎに小樽を出発してから13時間。トリップメーターの表示が500km超。北海道の道だから、気持ちの良い疲労感でこんなに走行できたのでしょう。
すぐに部屋へ案内していただき、6畳ほどの広いスペースを独占できると聞いてびっくりです。先の電話では、相部屋になるかもしれないと聞いていたのに…ひとり寝の夜となりました。何だかうれしいような、寂しいような…。どうも、休日の前日以外はどことも空部屋があるみたいです。早速、温泉のお風呂で旅の疲れを癒しました。
ユースホステル形式の小さな宿ではありますが、お風呂が温泉とくれば、ライダーらに人気があるのが何となく分かります。それに、食事は宿泊客全員が食堂に集合し、ビールを飲みながらの旅談義。記念写真を撮り合ってはみんなで盛り上がり、楽しい夜になりました。
皆さんがまだこれからという時に、私はもう着床の時間です。明日の朝また4時起床で、準備でき次第の出発です。まだ午後10時ですよ!と言われそうですが、私にはもう10時。お先にお休みさせていただきまーす!!明朝は誰にも気付かれないように、静かに出発させていただきますので、ご理解くださいませ。
本日の走行距離:506.0km
本日の燃料補給:20.88ℓ
早朝3時45分起床、とても気持ちの良い目覚めです。すぐに身支度を整え、バイクまで静かに荷物を運び出しました。
荷物をバイクにくくりつけて出発の準備をしているところへ、なんと!一緒に宿泊したBMW & ハーレーの2台のバイクで北海道ツーリングを愉しんでいらっしゃるふたり連れが、日の出時間に出発しようとしているこの私を見送りに、わざわざ早起きして出てきてくれたのです。あぁ…ビックリしました!
お互いの旅の無事を祈り合い、記念写真を撮らせていただきお別れです。写真は自宅に帰着後に、いただいた名刺のeメールあてお送りさせていただくことにしよう!どうもわざわざお見送りいただき、ありがとうございました!
さて、今日の旅程は、まずは国道243号線を東に進み、360度の展望で人気の「多和平」に立ち寄ります。その後、国道272号線の通称ミルクロードを走って中標津町に出ます。そこから「野付半島」へ、そしてさらに南進し、根室方面へと周る予定です。
天気は今のところ曇りですが、根室方面は所々で雨が降る予報が出ていたので、あまり期待はできないかもしれません。「青空が見えなくても良いから、雨だけは降らないように…。」そう神様に祈りつつ、まずは東へと多和平を目指して走ります。
時折、日の出の太陽が、ダークグレーの雲間から顔を覗かせることもありますが、東の空は薄暗くどんよりとしています。多和平への到着は午前5時。数々のテントが並ぶキャンプ場は、朝もやの中で静まり返っていました。
そんな中で、一組のカップルが歩道沿いに座って朝食を摂っていました。聞くところによると、横浜からのライダーで、キャンプツーリングを愉しんでいるとのことでした。北海道の朝は早いから、朝食後すぐに出発し、知床方面に向かうのだという。仲の良い雰囲気で、話す仕草がとても印象的でした。
そして、未だ誰もいない早朝に、ひとり登った展望台からの360度の眺望に感動!そして、次はミルクロードへ。ミルクロードはその名のとおり、いくつもの牧場を数えながら中標津町の小さな町並みを通り抜けます。少し走ると国道335号線と交差する三叉路に出ます。目の前には根室海峡が…その先には、国後島が近くに見えるはずなのですが、雲が低く垂れ込めて残念ながら望めません。
さぁ!ここから先が北海道の東の端に釣針状に細く伸びる野付半島へと入ります。野付半島は、延長28kmにも及ぶ日本最大の砂嘴(さし)で、「野付」とはアイヌ語で「あご」の意味だそうです。半島の先端が陸地側に向って大きく湾曲しているのが「人のあご」に似ているところから、こう名付けられたらしいのです。
今は、エゾカンゾウの花が群落をなし、辺り一面を黄色に染め上げています。また、ここはタンチョウの生息地で、多くの写真家が訪れています。私が着いて間もないときは、すぐそばに何羽も飛来し、多くの観光客が車を停めてはシャッターを切る姿を見ましたが、あとでゆっくり撮影しようと先に進んだため、私が戻ったときには、もう1羽もいませんでした。残念!
それにも増して残念なことが…。ポツポツと雨が降り出してきたのです。急いでレインウエアを取り出して着用し、もと来た国道244号線に戻っては、霧雨の中を南下、根室方面へとゆっくりバイクを進めることになりました。
途中、何度か降ったり止んだりを繰り返し、ヤンシュウベツ湿原の辺りまで来たときには、雨は完全に止みました。その後、道は国道243号線となり、根室市に入ります。根室市からは、国道44号線を通って根室市街を通過、根室半島の先端は「納沙布岬」を目指します。
根室市街に入った頃から、今度は霧が出始めて、遠くの景色が見えません。でも、ここまで来ては引き返すわけにもいきません。徐々に濃くなる霧の中を、岬に向かって走り続けました。ところが、行けども行けども霧が深くなるばかりで、前が見えないほどの超濃霧!やっとの思いで「納沙布岬」までどうにか来ることができました。
しかし、この超濃霧では何も見えず、『北海道最東端の「納沙布岬」まで来た!』という事実だけを残す結果となりました。晴れていれば、北方領土の「歯舞諸島」を間近に望める場所だけに非常に残念ではあるが、タイミングが悪いと諦めざるを得ない。
再び超濃霧の中をゆっくりと走り抜け、根室市街のコンビニで昼食休憩をしていると、今度は、またしても雨が!ケータイのⅠモードで天気予報を見ると、今日から明日にかけて道東方面は不安定な天気が続く様子。天の神様には逆らえません。道央方面へと旅程の変更を余儀なくされそうです。
雨の中での観光は、どこへ行っても楽しくないものですね。特に、北海道の広々とした雄大な風景を見るためには、雨は遠望を妨げて、本当の景色が見えません。とにかくこの雨を避けるべく、国道44号線を西へ西へと釧路方面に向かってバイクを走らせます。
望みの写真が1枚も撮れぬまま、降り続く雨の中を走り続けて、ついに釧路市まで来てしまいました。道路沿いの温度表示が16℃!?道理で寒いはずだ!観光予定の釧路湿原をも通過して、国道38号線へと入ります。時間は午後の3時を過ぎ、雨はさらに激しさを増してきました。
降り続いた雨も、国道38号線を海岸線から内陸部に入る浦幌町辺りでやっと霧雨に変わり、今度はあっと言う間に晴れ渡りました。晴れ間とともに、帯広市に近づくに連れて気温が上昇しているようで、豊頃町のコンビニで休憩中、日差しが暑く感じるようになりました。根室~釧路方面に比べて10℃以上の温度差があるようです。
時間はすでに午後5時を過ぎています。「あっ!そうだ!そろそろ今夜の寝床をどこにしようか決めなければ…」帯広市内には、ライダーハウスが多数あることを事前にキャッチし、帯広市のライダーハウスにしようと決めてはいたのですが…。ここでお土産を買うつもりだし、あまり時間がありません。
市内で数あるライダーハウス、中でも帯広市が経営する無料のライダーハウスが、ツーリングマップルの「おすすめの宿情報」に掲載されていたことを思い出しました。そこで早速調べてみると、ありました!中心市街地から少し南部の郊外に離れてはいますが、「大正カニの家」という市営で無料の宿が…。どんな宿かを体験してみる価値がありそうです。
まずは、六花亭でお土産を購入・配送手続きを済ませてから、コンビニで夕食用の食料を買い込み、「大正カニの家」へと急ぎました。場所は、帯広市内は国道236号線の「大正本町」交差点を目印に東側に少し入った住宅街の公園の一角にあり、非常に分かり易く、周囲は広々としています。
宿泊場所に到着できて、一安心です。野付半島から根室~釧路~帯広と、午前4時から、悪天候の中を走りに走った今日一日。トリップメーターは、なんと570kmを超えていました。あまり疲れは残っていませんが、北海道だから走れた走行距離ですね。
私が到着すると、先に3台のバイクが停められていました。岐阜や大阪等、他府県のナンバーからみて、皆さんバイクツーリングによる宿泊であることが解ります。「大正カニの家」は2001年に帯広市が建設した公営のライダーハウスで、一般のライダーハウスと比べるとあまりにも立派過ぎて、「ええーっ!これで無料!?」と、誰もが口を揃えて言ってしまいます。
この日の宿泊人数は、私を含めて7名となり、うち1名はヒッチハイクのおじさん(この写真の撮影者)で、すでに3日目の連泊だそうです。そりゃぁ、こんな立派な建物に無料で泊めてもらえれば、暇さえあれば何泊でも連泊したくなりますよね。おまけに温水シャワーまで無料!加えてボディシャンプーにリンスシャンプー付き!トイレは広々、水洗で超キレイ!もう言うことなし!
開設以来、人気殺到!早めに到着しないと入れない状態が続き、また、一部のマナーの悪い利用者により、女性専用部屋が占拠されるという事態も起こり、2004年から市の管理体制が厳しく改善されたそうです。でも、利用者にとっては改悪です。
今では、連泊は最高3日までとなり、門限等も規制されています。折角、帯広市が道内を旅する人のためにと無料開放してくれている立派な施設を、利用者のマナーの悪さから、自分で自分の首を絞めるようなことのないようにしたいものですね。無料施設を利用するみなさん!もっとマナー向上に努めましょう!
本日の走行距離:575.9km
本日の燃料補給:31.40ℓ
こんな立派なライダーハウスで一夜を過ごすことができ、お陰様で、昨日の雨中長距離走行の疲れがウソのように消えていました。
午前5時に起床し、いびきや寝息の聞こえる中を誰にも気付かれないように、静かにバイクを押し歩き、思い出の「大正カニの家」をあとにしました。
場所により、めまぐるしく変化する天候に泣かされた昨日とは打って変わって、今日は幸運にも、出発時は「晴れ」の好天に恵まれました。北海道を一巡して感じたのですが、北海道らしさを感じとれる一番の場所は、やっぱり「美瑛」だと思います。一昨年にも行きましたが、もう一度、前にも増してゆっくりと行ってみたい心境に駆り立てられました。時間は十分にある。昨夜、床に着いてから、夢見心地でふと思ったのでした。
気持ちが固まると、即刻行動に移すのが私の性格なのでしょうか?「そうだ!美瑛だ!」と思った時には、すでに国道38号線を美瑛を目指して走っていました。国道38号線は、平日の早朝ともあって、帯広郊外に出て行くにつれ、そこはもう北海道らしい快走道路と化し、特に富良野に抜けるまでの「狩勝峠」が、とても綺麗なワインディングロードに整備されていました。
狩勝峠の気持ちの良い早朝走行を愉しんだあとは、道の駅「南ふらの」で休憩です。ふとその時、昨夜の宿泊地「大正カニの家」での会話を思い出しました。管理人の職員さん曰く、私との会話ではありませんが…「富良野の国道(R237)がものすごい渋滞でたいへんでした。😖」との話から、「ろくごう抜けりゃいいんだよ!空いてるし、バイクなら気持ちのよさそうな道だぜ!」と…。「ろくごう??」って?
「ろくごうって道道6号ってこと?どこですか?」と私。「ええーっ!?ろくごうも知らねぇのかよぉ?違うよ!麓郷(ろくごう)って所だよ!絶対に楽だから…。」よし!そうだ!麓郷を抜けてみよう!そう思いました。そして行ってみて、そこで出合った風景に、また新しい感動を覚えたのです。北海道って不思議ですね。
渋滞もなくスムーズで快適な道道253号を走行して、また新しい風景に感動を覚えながら、午前11時には上富良野町までやってきました。「そうだ!今日と明日の2晩をこの辺りで連泊し、そこを拠点にして美瑛の写真を撮りまくろう!」
そう思いながら、また持参のツーリングマップルの「おすすめの宿情報」を見てみると、またありました!かみふらの「道楽館」が。【ライダーが旅人のために作った施設充実の宿】と添え書きしてありました。完全予約制としてありましたが、現在地からすぐ近くのようなので、早速、下見に…良ければ予約を入れよう…そう思って行ってみました。
かみふらの「道楽館」は、国道237号線の深山峠を側道へ入ってすぐの所にあり、若い女性の方が、ちょうど今から出発という泊り客をお見送りしている最中でした。
「ええーっ!?まさか!この若い人が…この宿の女将さん!?」かと思いきや、「私はヘルパーで、宿主は今、外出中ですが、今のところまだ空きがあるので、大丈夫です。」とのことでした。またそれが、彼女もライダーで、なんと!宮城ナンバーのハーレー(ダイナ・ローライダー)乗りだったから驚きです。
予約がOK!そうと決まれば、早速、荷物を預けては、身軽になって美瑛観光へと出発です。ここからは、さっと国道237号線に出て、真っ直ぐ北に進めば約15分で美瑛です。
美瑛到着がちょうど正午で昼食時間。またちょうど目の前の国道沿いにローソンが…。昼食はここに決まりだな。そして、軒下には、まるで私のために用意してくれたかのような休憩テーブルが…。ところが…食事中に事態が急変!
今までの曇り空から、さらに上空には真っ黒な雨雲が、徐々に空一面を埋め尽くし激しい雨となりました。ライダー達は慌ただしく、このコンビニへも駆け込んできました。北海道で急な雨に遭うとライダーはたいへんです。そう、雨宿りする場所など、どこにもないからです。
でも、私はもう「急きも慌ても(せきもあわても)」いたしません。😁今日も明日も美瑛三昧ですから…。そのうち、この雨も上がるだろう。そう思いながら、およそ2時間は、このローソンで雨宿り。軒下の休憩テーブルを独り占めする中で、やっと雨も霧雨程度となりました。
そこへやってきたのが、スズキの大型スクーター。それもフラッグシップモデルのスカイウエイブ650に乗る熟年者!神戸の人で、聞くところ、なんと和歌山市の高松に親戚があり、和歌山にはよく行くとのこと。
今回は知り合いとふたりで来たが、道内では、相棒とは待ち合わせ場所と時間を決め、それまでは自由に別行動するセミソロツーリングをしているとか。若いときは、いろんな速いバイクにも乗ってきたが、「俺みたいに年とると、こいつが最高だよ!」と言って、スカイウエイブ650の痛快さを楽しそうに語ってくれました。
午後2時30分過ぎ、やっと雨が上がりました。神戸のおじさんとも旅の無事を祈ってお別れです。さぁ…雨も上がったことだし、そろそろパッチワークの丘方面へブラブラと行ってみるか…。美瑛に滞在できるとなれば気分的に落ち着いて、先を急ぐ焦りなど全くありません。これって最高!
そして、まず最初に出向いたのが「ぜるぶの丘」です。ここは、丘というよりも公園といったほうが良い感じです。夏休み前の平日にもかかわらず、車や観光バスによる観光客でとっても賑わっていました。さすがに道内観光のメッカ「美瑛」だけのことはありますね。
一昨年以来、北海道ならではのあの風景に、再び出会えるのかと思うと、それだけで胸がわくわくしてきます。
しかし、どうも天気が…またしても西の空に、もくもくと真っ黒い雲が湧き上がり、この丘に向かってくるではありませんか。もうだめだ!レインウエアを着なければ…。そして、着ている最中に、もう大粒の雨が…。
「ケンとメリーの木」の前に着いたときには、一旦は止みましたが、まだまだ空はどんよりとしています。そんな悪天候なのに、観光客が減りません。名のあるビューポイントともなると、バイクでさえ停止場所すらないのです。ベストアングルを選べない状態なので、天気も良くないことでもあるし「そうだ!また明日、誰も来ていない早朝に来よう!」そう決めて、アングルを模索して周ることだけに力を注ぎました。
そして見つけたのが、ここからのアングルです。そこへやって来たのが消毒のための大型トラクター。ベストシャッターチャンスです。まるでヨーロッパにでも来たかのような【未だ行ったことがない😅】この素晴らしい風景!写真はカメラアングルによって風景も変えてしまうものなんだ!
次のポイントの「セブンスターの木」の近くに来てみると、目の前の丘の向こうに大きな虹がかかってきました。あの丘を名付けて「レインボーの丘」にしよう!名付け親は、もちろんこの私です。
「セブンスターの木」と「レインボーの丘」だ。このようなシャッターチャンスは、出会おうと思って出会えるものではありません。これもつい先ほどまで私を苦しめた突然の雨のお陰です。でも、雨が降ったからといって、虹がかかるとは限りません。これぞ偶然のめぐり合わせというものでしょう。
パッチワークの丘のビューポイントでカメラアングルを模索するうちに、時間も午後の4時15分。そろそろ宿へと戻る時間です。「よ~し!明朝5時にはここに来て、パッチワークの丘を独り占めにしてやるぞ!そうなれば、カメラアングルは自由自在さ!」そう思いながら、今日はひとまず美瑛の丘からさよならしよう。
美瑛の丘をあとにして、国道237号線を深山峠に向かう間の15分間というものは、バイクを走らせながらもいろんな思いがこの脳裏を掠めます。この美瑛の丘を最後に、北海道ツーリングの見納めにしようかとか…。
午後4時40分、かみふらの「道楽館」に到着です。6時からの宿泊客全員合同夕食会?に参加すべく、早い目の帰着です。まずはお風呂で汗を流し、1階の食堂でテレビを見ながら全員の集合を待ちました。
今夜の宿泊客は、東京と横浜、それに和歌山からの私の3名です。少人数ではありますが、そこはみな同好の士。楽しくないはずがありません。
ビールで乾杯し、うまい料理に舌鼓を打ちながら、楽しい夕食会はあっと言う間に終了時間です。明日は、美瑛での最後の一日。
宿主様に「早朝美瑛撮影ツーリング」の許可を得て、4時30分に出発し8時までには帰着、みんなで一緒の合同朝食会に参加することを約束し、早朝の、誰もいないパッチワークの丘のビューポイントを独り占めする意気込みで、好天に恵まれることをお祈りして、午後10時には床に着きました。
本日の走行距離:289.6km
本日の燃料補給:10.69ℓ
午前4時起床。外は明るくなってはいるものの、予報では、昨日に引き続き、なお不安定な天気が続く予想です。曇り空の中を、再び美瑛の丘を目指して走りました。目標は「ビューポイントの独り占め」です。どれほど多数の旅行者が、ここ北海道の観光のメッカ「美瑛」に訪れていようとも、日の出とともに来る奴はそういないはずだ!
そう思いつつ丘に登ると、予想どおり誰もいません。「よーし!今のうちにビューポイントを独占だ!」早速、買ったばかりのデジタルカメラ [CANON IXY DIGITAL 55] を首に掛け、パッチワークの丘のビューポイントを我が愛車とともに撮りまくりました。
そして、写真を撮っていてふと感じました。どれだけ時間があっても足りない…と。やはり観光のメッカ「美瑛」だけのことはある!「パッチワークの丘」を独占すれば解ります。それは、どの丘に行っても、どの方向を見ても、全てが絵になる場所だから…全てがビューポイントだから、デジタルカメラのメモリーがどれだけあっても足りません。
今度は、美瑛南部の「パノラマロード」に行ってみることにしました。道道966号線の通称「白金街道」を南下し、途中、道道824号線に入ってみると、また新しい美瑛に出会えます。
どこへ行っても、ビューポイントの尽きることのない丘のまち美瑛は、魅力に溢れる花のまちでもありました。
美瑛に来ると、ここにずっといたい。でも…帰らなければ…。だから、また来たい、何度でも。そしてまた来てしまう。いつまでいても、飽きることのない素晴らしい丘のある原風景。
「よーし!今日が最後だし…十勝岳まで行くか!」天候はまだ不安定で、山は見ることができないかもしれないが、折角来たからには、行くだけでも行ってみようという気になりました。中富良野町で昼食を摂り、その後、道道291号線から十勝岳へと向かいました。道は快適なワインディングロードで心地よい走行が愉しめます。
十勝岳PAまで登りましたが、濃霧で何も見えません。止むを得ず、北へと方向転換。大雪山は旭岳へと行ってみました。道道966号線から213号線と1160号線を走行。道道はどの道路もきれいに整備され、快適な山岳ワインディング走行を愉しめます。しかし、旭岳の眺望は同じく濃霧で残念!
しかたなく美瑛町へと下ってくると、前方の空一面が急に真っ黒い雲に覆われて、ポツリポツリと大粒の雨が降ってきました。またしてもレインウエアの出番です!時間もすでに午後4時30分を過ぎていました。このまま再び、かみふらの「道楽館」へ帰ろう!この雨では、観光はもう無理だから…。
今日一日スカッとした天候には恵まれず、お気に入りの写真は撮れませんでしたが、南北の屋根(十勝岳・旭岳)の山岳ワインディングロードの心地よい走りを愉しめたので、これで良しとしよう!これもマイバイクでのツーリングの楽しみの一つなのだから…。
「道楽館」のご主人にこのことを話すと、北海道には、まだまだ知られていない感動の風景がたくさんあり、国道よりも一歩入った道道や地方道等の方が、ジェットコースターの道とかのバイクで走って面白い道がいっぱいあるそうです。これらをすべて網羅し満喫するためには、ここに移住しなければ味わうことはできません。
さぁ!これからは、1日の疲れを心地よい疲労感に変える「道楽館」での宿泊客全員合同夕食会の始まりです。ダッチオーブン料理で飲むビールの味も格別です。今夜の宿泊客は、宮城県からの若いハーレーご夫妻と、レンタルバイクでツーリングの熟年の方、そして私の計4名と少人数ではありますが、とても楽しい個性派揃いの集まりとなりました。
ソロツーリングでの北海道も、ライダーハウス等を利用することで、同好同士の集まりによりこんなに楽しいツーリングになるのです。これも北海道ツーリングならではのことでしょう。ひとりの寂しさなんて微塵もありません。新しいコミュニケーションを求めて、それを楽しみに北海道ツーリングに出かけるライダーもいるくらいですから…。
美味しい料理をいただきながら冷たいビールを注ぎ交わし、ツーリング談義に花咲けばもうそれ以外には何もいりません。必要なのは時間だけ!こんな楽しい時間は、永久に続けばよいのにと思えるくらいでしょう。
でもそんな贅沢は言いません。せめてゆっくりと過ぎてほしい。ところが、神様は非情です…。楽しい時間ほど速く過ぎるようにしているみたいです。
目的の根室~釧路の道東は、天候不順でどうなるものかと思いましたが、すぐに気持ちを切り替えて道央に絞り込み、メッカの美瑛を中心に滞在ツーリングにすることで、こんなに楽しいツーリングにすることが出来ました。同好の出会いの大切さと喜びをまたも手にした素晴らしい2005年北海道ツーリングとなりました。今回の旅の途中で出会った同好のみなさん!本当にありがとうございました。
明日は北海道の最終日です。それではまた明日の早朝を、北海道の見納めにするくらいの気持ちで、最後の思い出の写真をバッチリとカメラに収めるために、本日と同様に「道楽館」での朝食前の「朝練ツーリング!?」をがんばるぞ!午後10時と、まだ少し早いかもしれませんが、みなさん、お先にお休みなさい。
本日の走行距離:266.0km
本日の燃料補給:13.33ℓ
2005年北海道ツーリングも最後の朝を迎えることになりました。いつものように午前4時に起床しては、貴重な時間を有効に活用すべく、ここかみふらの「道楽館」の楽しかった思い出をデジタルカメラに収めつつ、再び美瑛の丘のビューポイントでCBRを走らせます。愛車CBRとの美瑛の丘の思い出は、出来うる限り数多く持ち帰りたい。最後の日の最高の丘を…。
そして、最後の最後にやって来たのが「赤麦の丘」でした。
薄日の朝陽を浴びながら、赤く輝く麦の穂が丘一面に広がっている光景は、思わず驚嘆するほどの素晴らしいコントラストで、カメラでは表現しきれない大きな感動を覚えました。
これほどまでに訪れるたびに、また訪れる時間帯によって、訪れる場所が同じでもまた違う感動が味わえる北海道、美瑛の丘。これに季節が変わると一体どう変化するのだろう?
そんな想いを抱きながら、また次のビューポイントを求めては、早朝のまだ人影の少ない美瑛の丘のそのまた丘へとゆっくりバイクを進めます。そして、何気なく、感動する心のままに写したそのワンシーンが、今、持ち帰ってびっくりです。
それが、一昨年に撮影したひと駒と全く同じ場所の同じアングルであることに、このツーレポを編集中ふと気付いたのです。「あれ~ッ!?このシーン見たことあるぞ!?」ってね。
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| 今回(2005年7月21日) |
| 一昨年(2003年7月20日) |
意図的に撮った写真ではありません。これには自分でもびっくりしています。人の感性ってほんとに不思議ですね。
美瑛の丘をもう十二分に堪能したところで、「道楽館」での最後の朝食会の時間です。今朝はアウトドアでの朝食で、また違った雰囲気に楽しさ倍増です。朝の爽やかな空気を感じながらいただいた「???粥」(sottoooさん[宿主のニックネーム]教えて!)の美味しかったこと!あの味は今でも忘れられません。
みんなで楽しくいただいた「道楽館」のアウトドア朝食会。このひと駒をデジタルカメラに収めておけば、いつまでも消えることのない思い出として残り続けることでしょう。
ここで出会った同好のみなさん!楽しい時間をどうもありがとうございました。いつまでもお元気で、これからもバイクツーリングを愉しんでください。
さぁ!最後の出発の時間です。帰りたくないけど帰らなければ…そんな後ろ髪を引かれるような思いを胸に、お別れです。
寂しい気持ちを楽しい気持ちに切り替えて、今日一日の舞鶴港までのルートを考えながら、とりあえず国道237号線を富良野方面へと南下しました。その後、中富良野から国道38号線を右折して芦別市へ、そこから今度は国道452号線をさらに南下して夕張市に出ます。夕張市に出ると札幌へと国道274号線で一直線にもと来た道を帰ります。
《帰路は、フェリー内も含めて中略させていただきます。》
近畿自動車道(阪和道)の岸和田SAまで無事到着です。時間は午後11時25分でした。ここまでくれば、もう自宅到着も目前です。疲れもほとんど残っていません。ケータイで帰着予想時刻を自宅にメール発信し、トイレ休憩を済ませて再発進!
自宅に到着は、日付が回って翌朝の午前0時16分でした。早速、お風呂で疲れを癒して着床です。雨中走行で泥まみれのCBRは、また日曜日に磨いてやろう!
前日までの走行距離:476.3km
前日までの燃料補給:26.35ℓ
総走行距離:2,352.9km
総燃料補給:118.15ℓ
今回の北海道ツーリングにご協力くださった全ての人に深く感謝いたします。
そしてまた、最後まで読んでくださった「あなた」にも…。「どうもありがとうございました!」
























