富士山撮影2004
【もくじ】
2/10>和歌山~田貫湖~御殿場~ホテル保土沢園
2/11>ホテル~籠坂峠~山中湖~三国峠~乙女峠~ホテル
2/12>ホテル~三国峠~御殿場~和歌山
雪をかぶった富士山。その雄大な姿をカメラに収めたい!ただそれだけの思いを胸に、ひたすらバイクを走らせた。好天に恵まれることを信じて、いくつかのビューポイントだけをターゲットに寒風を切り裂けば、そこにはきっと、大きな感動が待っているはずだ!
(2004年2月10日~2月12日)
おーッ!見えた見えた! 早朝の午前5時に自宅を出発し、それから7時間余り、やっと東名高速の前方に富士山が見えてきました。今回のツーリング目的は、大きく雪をかぶった富士山の全貌を望み、たっぷりカメラに収めることです。
期待どおりきれいな姿を見せてくれるように、空気が澄んでいて撮影条件が整いやすいといわれる厳寒のこの時季を、敢えて選んでは、寒さを堪えて祈りながら走り続けた7時間です。
よーし!これだけきれいに晴れていれば、どうにか目的が達成できそうだぞ!はやる気持ちを抑えながら、東名高速の富士ICを降りました。そして、まず最初に訪れた撮影ポイントは、朝霧高原そばの「田貫湖」です。
ここでは裾野に雲が絡みつき、期待していたほどのきれいな富士の撮影には至りませんでした。今日は平日とあってか、カメラマンも一人しか来ていません。ここでの現在時刻は午後1時30分です。あまり長居をしてホテル到着時刻が遅くなっても困るので、あきらめて早々とこの場をあとにしました。
田貫湖畔道路を走りながら、朝霧高原から望む富士の撮影も考えたが、裾野に絡みついた雲が移動していく様子もないので、日の沈まないうちに、今回の富士山撮影拠点として予約済みの「ホテル保土沢園」の場所を探し当てるべく、今来た国道138号線を南下し、国道469号線へと向かうことにしました。
国道469号線は富士山南部の裾野を東西に結ぶ山間道路で、西は本栖湖方面へ向かう国道139号線から、東は山中湖方面へ向かう国道138号線へと繋がれています。
走っていくうちに、民家の密集するいくつかの村内を通過しなければなりません。そのたびに、もともと細い国道は、いくつもの細い道に分岐され、どれが本線の国道なのか迷ってしまいます。できれば、村内での本線案内標識を多数設けていただきたく思いました。
そんな分かり難い国道も、途中いくつかの拡幅工事が行われ、広くきれいに整備が進められている箇所もありました。早く全線の整備が完成されることを期待しています。
1時間30分ほど走ったところで「御殿場市街」への案内標識が現れ、やがて沿道は町らしくなってきました。GSも目に付き始め、ふとトリップメーターに目を移すと200km超。燃料補給をしておかなければ、明朝は早い出発の予定なので、入れ忘れないうちに早速GSに入りました。
そろそろ「ホテル保土沢園」が見えるころです。この国道469号線沿いにあるはずなので、給油中のご主人にお尋ねしたところ、「ここから1kmほど先の左側ですよ。」と教えてくれました。あぁ…これでやれやれです。
時間は、まだ午後3時過ぎです。少し早いようにも思いましたが、この辺りは日の沈むのも早く、それに連れて寒さも増してくることから、この季節は早めのホテル到着が正解でした。
「ホテル保土沢園」は国道沿いの非常に分かり易いところにあり、すぐに見つけられました。フロントでは宿のご主人が、「あぁ…クラブトクーでご予約のバイクでお越しの方ですね。どうぞ、屋根のある方の駐車場へ…どこでも空いたところへ停めていただいて結構ですよ。」と、とてもうれしいお言葉。第一印象は、超Goodです。
「お部屋は2階の富士3の間です。」うぅー?「ふじさんのま?」今回の旅の目的そのまんまの間、でした。和室で6畳はある1人泊まりでは広すぎるくらいの部屋でした。こんな立派な部屋が、素泊まり3,100円の超格安価格!これもクラブトクー様のお陰ですね。本当に、旅人の立場で旅の提案をしていただけるクラブトクー様ならではです。
以前、信州方面へのソロツーリング計画で、宿を電話予約した時、どこも「1人泊まり」ということで断られ、止む無くキャンプ場でのテント泊に変更したことがありました。それと比較すると、クラブトクー様の宿は私の旅スタイルにぴったりフィットし、一人旅を可能にする宿を多数揃えてくれているので、とっても有り難い限りです。
今回の「ホテル保土沢園」も、一人旅を可能にするリーズナブルな価格設定のホテルです。それに、お風呂は24時間利用可能です。バイク旅で冷えた身体を温められ、疲れを癒せるお風呂にいつでも入れるということは、もうそれだけで最高に贅沢な気分です。注文していた夕食も、値段のわりに充分満足できるもので、一緒に飲んだビールの味も、また格別でした。
本日の走行距離:530.7km
本日の燃料補給:30.51ℓ
翌朝の午前5時30分起床。窓の外はまだ真っ暗です。お風呂好きの私は、早速、当ホテルご自慢の24時間風呂で朝風呂に。けして大浴場ではありませんが、大人3~4人は余裕で入れます。早朝とあってか、この日は私ひとりだけでゆっくり楽しませていただきました。
風呂から上がり、日の出の明るさで外に出てみると、雲ひとつない快晴です。予定どおりに7時からの朝食を済ませ、さぁ!気合いを入れて出発だ!今日の予定は山中湖村から三国峠へ行き、ビューポイントからの富士山と山中湖のパノラマ撮影をすることです。どうか、現地もきれいに晴れ渡ってくれるように…と祈りながら、午前7時45分、エンジンに火を入れました。
早朝のこの寒さは、気合いを入れて行かないと、峠越えはできません。国道138号線を北上し、東富士五湖道路(有料)から籠坂トンネルを抜けて山中湖ICで降り、再び国道138号線を戻れば簡単にアクセスできたのですが、籠坂峠を越えたいという思いが強く、沿道に雪の残る峠へと向かいました。
標高が上がるに連れて徐々に気温も下がり、道路沿いの気温表示は「-3℃」と表示されています。路面の雪もまた徐々に多くなり、車が通行したタイヤの跡だけが融けたベタ雪状態で、上り坂ではUターンすることもできず、タイヤの跡のそのわずか50~60cmの幅員を頼りに、まるで綱渡りのようにしてどうにか走り抜けました。よくぞ転倒しなかったものです。山中湖畔に着いたところで休憩し、胸を撫で下ろしました。
峠を越えても、空は真っ青に晴れ渡っています。よーし!気分を取り直しては、先に、よくカレンダー等に使われている「花の都公園」に行きました。
おーおっ!!感動!やはりここは最高のビューポイントです。しかし、残念なことに、富士山に絡みついた雲だけが取れません。ここは、花の咲き誇る春のよく晴れた日に、いつかもう一度訪れてみたいポイントです。行楽シーズンともなると、平日でも大変な人出となるんでしょうね。
絡みついた雲が移動する気配もなく、あきらめて、三国峠へと向かいました。三国峠からの撮影条件は、太陽の光がよく当たる早朝から午前中の早い時間帯が一番きれいに撮影できると、ある写真家のホームページに書かれていました。本当にそのとおりで、行ってみてそのパノラマのきれいさに圧倒され、しばらくは身動きもせず見入ってしまいました。富士に絡みつく雲がなければ、更に感動的でしょう。
たびたび訪れることのできない私にとって、雲のない富士山を撮影できるチャンスは、生涯そうはありません。今日、今、ここで撮影できないようであれば、次は、いつになることやら…。そう思うと、絡みつく雲の取れるのを待つしか…。1時間以上は経っただろうか。雲の動く様子はまったくありません。そばにいる写真家らも「今日はだめだ!」などと言いながら、ひとり、またひとりとその場から離れていきます。
自然の現象を、人の力で変えられないことなど、あたりまえでしょう。それでも、何とかと祈りつづけましたが、やっぱりダメでした。ここでも富士に裏切られたような、悔しさだけを残してこの場を立ち去りました。
場所を変え、山中湖畔からの撮影を試みながら、気分転換に河口湖方面へとバイクを走らせました。そこには、底抜けに晴れ渡る空に、浮き上がる富士山の姿が目に入りました。しかし、時間は午後12時過ぎで、そこは、眩しいほどの逆光!撮影条件が悪すぎます。しかたなく瞼の裏にだけ収めておくことにしました。
ふと我に返ると、すごい空腹感に襲われました。時間はすでに午後1時前になっています。国道138号線沿いの「ロイヤルホスト」にて、豚の生姜焼き定食を食べながら、しばらく昼食休憩としました。太陽の動きに合わせて撮影ポイントを選ばなければならない、自然を相手の撮影旅行に、条件が整わないことで、とてつもない疲労感が襲ってきていたのも事実です。
ロイヤルホストで約1時間休憩し、その間に、以前「箱根」に行った時に通った「乙女峠」から見た富士山を思い出し、もう一度今から行ってみることにしました。今からだと、太陽も撮影条件にちょうど良い位置にきているので、また、気を取り戻して、今度は乾いた籠坂峠を爽快に走り抜け、一路「乙女峠」を目指しました。
乙女峠からの富士の眺望を愉しみながら、ビューポイントまで来ましたが、ここからも、絡みつく雲が残ったままで、すっきりと裾野を広げたきれいな富士山の撮影は叶いませんでした。あぁ…またしても残念!出るは溜息ばかりなり…。
半ばヤケクソ気味で、今度は御殿場ICから、太陽の動きを追いかけて、富士山を中心に周るように富士ICまで走り、そこから富士川の河川敷公園を目指しましたが、途中、望む富士山は、雲に隠れてどこにあるのかさえ分からなくなってしまいました。もう最悪…。
夕暮れが近づくと、気温が急に低下してくるのが分かります。望みが叶わなかった悔しさにこの寒さが加わって、夕暮れにひとり、やり切れない気持ちになりました。
あきらめてホテルに戻ろう。一流のカメラマンでさえ、ビューポイントに何回となく訪れてはみても、思いどおりの写真が撮れることの少ないと聞くこの恥ずかしがり屋の富士山です。私のような素人が、ちょっと一度訪れてみただけで、簡単に撮らせてもらえると思ったら、それはやっぱり大間違いというものでした。
ホテルに戻ってこの話をすると、仲居さん曰く「富士山は、女性だそうですよ。あまり見つめられると恥ずかしいらしく、すぐに雲隠れしてしまうのだそうですよ。」とのこと。昔からそういう伝説があるんでしょうね。テレビでは、明日も晴れで、昼間は暖かくなるとのことなのに…。
あぁ…疲れた!そうそう…24時間風呂に入ろう!風呂に入って温まれば、疲れも解消されて、明日は気持ちよく、あきらめ気分も解消されて帰れるだろう。そう気持ちを切り替えて、今夜は早く床に着くことにしました。そして、もし運がよければ、帰路に着くまでの午前中だけでも、きれいな富士山が見えるかも知れないし…。
本日の走行距離:237.1km
本日の燃料補給:10.0ℓ
疲れが溜まっていたためか、猛爆睡で、気が付けば午前5時30分でした。また朝風呂に入り、気持ちよく目覚めたところで、窓の外はゆっくり白々と夜明けがやってきました。何気なく、ふとカーテンを開けてみると、正面に大きな富士山が…。
昨日も窓の外を見たはずなのに、まったく気付きませんでした。辺りには少し雪も積っています。こんなにきれいな富士山が望めるということは、あの三国峠からもきっと望めるはず。そう思うと、もうじっとしていられません。
昨夜の夕食時にお願いしていた今朝の朝食時間を、予定の7時から「出来次第すぐ」に変更していただき、早めの出発で、是が非でもこのチャンスをものにしたい!そう思いました。
朝食をいただくや否や、すぐに宿泊代金の支払いを済ませ、はやる気持ちを抑えつつ身支度にかかりました。
国道138号線から望む富士も、昨日の富士とは違って見えます。これぞ絶景の富士山の素晴らしい姿です。天気は安定しています。もう、今日は問題なく撮影できること間違いなしの天気です。
うれしさで、昨日の疲れはどこかに吹き飛んでしまいました。そして、一目散に三国峠のビューポイントへと走ってきました。おぉーっ!昨日見た風景は一体なんだったのか?と思うくらいに、また違った特別の感動が、辺り一面に立ち込めています。
寒さを堪えてまで初めてこの場に訪れて、このように素晴らしいシャッターチャンスに恵まれたことは、きっと、一生涯で忘れられない劇的な思い出のワンシーンとなることでしょう。あぁ…来て良かった!今日の溜息は、うれしさの溜息に変えてくれました。
三国峠、山中湖からの逆さ富士、それに、花の都公園からの雄大な富士の眺望は、どれも感動で胸がいっぱいになるほどでした。もう何も思い残すことはありません。あっと言う間に時間が過ぎてゆき、時計はもう午前9時。早く東名高速に乗らなければ、帰宅時間が遅くなってしまいます。
御殿場ICに入ったときは、午前10時でした。さぁ!これからまた7時間かけて高速ツーリングを愉しみます。思いが叶った気分で走る高速道路は、晴れ渡る青空のように気分も最高に晴れやかで、右に見る富士山の姿は、帰路につく私をお見送りしてくれているかのようでした。
そして、午後5時30分、無事自宅に到着です。目的が達成できた喜びで、疲れも忘れて、早速デジタルカメラをパソコンに繋いで見る私でした。
今回のツーリングは、自然の厳しさと、その恩恵をたっぷりと味わうことができた最高の3日間でした。ご協力していただいた方々には、心から「至福の時間をありがとう!」と、お礼申し上げます。
本日の走行距離・・・565.2km
本日の燃料補給・・・32.81ℓ
全走行距離・・・・・1,333km
燃料給油全量・・・・73.31ℓ
平均燃費・・・・・・18.2km/






