北海道2003
【もくじ】
7/18>7/18 和歌山~舞鶴港
7/19>新日本海フェリー
7/20>小樽港~富良野~美瑛~層雲峡(キャンプ)
7/21>層雲峡~石北峠~北きつね牧場~美幌峠~屈斜路湖畔(キャンプ)
7/22>屈斜路湖畔~硫黄山~摩周湖~開陽台~知床峠~知床五湖~オシンコシンの滝~ライダーハウス「ランプ別館」
7/23>ランプ別館~道の駅「おこっぺ」~稚内(ライダーハウスみどり湯)
7/24>稚内~ノシャップ岬~オロロンライン~留萌~厚田公園~小樽(魚松旅館)
7/25>旅館~小樽フェリーターミナル
7/26>舞鶴フェリーターミナル~和歌山
北海道。そこは、遠い遠い北の大地。「いつか、きっと…」との思いを胸に今日まで夢見て生きてきた。2003年7月18日、今、その思いがやっと実現したのです。遥かなる北の大地へ…さあ!出発だ!
(道東~道北方面)
2003年7月18日~7月26日
舞鶴発小樽行きフェリーを予約して2ヶ月、ついに待ちに待った出発の日がやってきました。午後からの半日休暇を取得して、帰宅後すぐに準備しておいたツーリングバッグをバイクにくくり付け、はやる気持ちを抑えつつ、隼くんとの待ち合わせ場所である岸和田SAへと急ぎました。
待ち合わせ時間は午後3時、なのに1時間も早く着いてしまいました。隼くんも同じ気持ちからか、着いた時間は10分と変わりません。舞鶴出港時刻は午後11時30分、時間は余裕充分です。舞鶴港までもツーリング、道中を楽しみながらゆっくり走ることにして、早めの出発としました。
吹田ICを下りた辺りから霧雨が降り始め、レインウェアを着用して走る羽目になりました。途中降ったりやんだりを繰り返し、結果的に大層に濡れることもなく、各SAでゆっくり休憩を入れながら、舞鶴到着は午後5時でした。
まずは、燃料を満タンにし、夕食にはまだ少し早いのですが、出港時刻までゆっくり過ごすため、JR舞鶴線近くの「とんかつ屋さん」に立ち寄って、夕食を取りながら休憩しました。舞鶴港近辺には食事処はほとんどなく、ゆっくり夕食を済ませておくためにも、早い目に到着しておいて正解でした。
インターネットで乗船予約をしてはありますが、乗船券を入手するための乗船手続きを出港90分前に済ませておかなければならないため、フェリーターミナルで早い目に手続きを済ませては、生ビールでのどの渇きを潤しながら、出港までの4時間をどう過ごそうか考えました。
私達がフェリーターミナルへバイクを乗船待ちに停めた時は、まだ自分達の前に10台程度しか待っていなかったのですが、午後9時前頃から続々とツーリング野郎達?(女性も数人いましたが…)がやってきました。乗船時にはバイクは70台程度になっていたように思います。
乗船を待つ間、姫路から来られた方が、もう何度か北海道ツーリングを経験しているらしく、「富良野方面へ渋滞を避けて行くには、国道12号線の岡山町交差点を右折して、三笠を抜けて行くのが絶対楽だし早いからね!」と教えてくれました。
そんなこんなで見ず知らずのライダーとバイク談義、ツーリング談義に花を咲かせているうちに、乗船のアナウンスがあり、午後9時30分の乗船時間となりました。乗船券の半券を切り取ってもらいながらの1台ずつの乗船です。
全体に乗船台数が普段より多いとのことから、早い目の乗船となりました。乗船後は、バイクにくくり付けた荷物は全て客室へ持ち込まなければなりません。北海道をキャンプツーリングするための荷物量は相当な体積と重量です。これらを全て客室まで運ぶのは、正直言って辛かったですね。たぶん…特に隼くんは。
予約した客室は「2等寝台」です。2段ベッドが4セット、計8名で1室となっていました。この日のフェリーは、北海道らしく「らべんだあ」という名前がつけられた比較的新しいフェリーでした。
フェリー内の見物は後ほどゆっくりすることにし、まずは入浴にて本日の疲れを癒しました。「乗船後は、車での乗客が来るまでにいち早く入浴を済ませることで、混まないでゆっくりと入れる」と、北海道ツーリングのHPで見ていたことを実践してみただけですが、なるほど実感でした。
午後11時30分。舞鶴港からの真夜中の出港シーン(真っ暗なだけで、陸なのか海なのか?)をカメラに収め、今日はもう着床しなければ…。
本日の走行距離:231.2km
本日の燃料補給:13.8ℓ
5時起床、甲板に出るも、どこを見渡しても海また海の海ばかり。日本海を北上しているというのに、この日は日本海の荒海を航海している感覚は全くなく、とっても静かな航行です。このフェリーには、13,200PS×2基のエンジンを搭載しているらしいのですが、どんな作りのエンジンなのか、とても興味があります。どなたかご存知の方は、そっとメールをください。よろしくお願いいたします。
フェリー内の朝食は、午前8時から9時までです。毎日午前6時に朝食を食べている私にとって、起床してからの3時間待ちはとっても辛いものがありました。テレビで朝のニュース等を見て時間を過ごし、朝食案内アナウンスの流れるのを待ちました。フェリー内での食事はやはり割高で、普段程度のメニューを取れば、朝食1食で1,500円程かかります。
朝食が済めば、もう次は昼食です。インターネットでの乗船予約時に、同時にランチやディナーの予約ボタンがあったのを見て、予約をしておいたのが正解でした。ランチが2,000円にディナーが5,000円と少し割高でしたが、でも、予約なしの一般での朝食が1,500円程度かかることを思えば、グリルの予約席で出された料理は、ランチもディナーも特別メニューです。しかも並んで待つ必要もなく、特別のおもてなしでゆっくり寛げて最高のクルージング気分を満喫させてくれます。これらを総合すると、妥当な価格設定だと納得できました。
夕食時刻の午後7時頃、フェリーは津軽海峡沖に達し、海流の影響を受けて船は少し揺れました。入浴時も、船が揺れることで湯船のお湯が溢れます。船に揺られて湯船に揺られて、二重の揺れに生まれて初めて味わう船揺れ気分を味わいました。
さぁ!今夜眠れば明日の目覚めは小樽港だ!どうも気分が高ぶって、ゆっくり熟睡できそうもありません。
本日の走行距離:0km
本日の燃料補給:0ℓ
フェリー「らべんだあ」は、予定通り午前4時、小樽港に入港しました。どこからか別のフェリーも入港中です。
空は、初めて見るような素晴らしい朝焼けで、一面を真っ赤に染め上げていました。誰もがその朝焼けする港の風景にカメラを向けています。
気温は10℃、ウエアは冬支度です。下船後は、すぐに走り出さなければなりませんから…。今日の予定コースは、富良野、美瑛、層雲峡泊まりです。
午前5時30分、国道5号線から274号線へと早朝の札幌の町を通り抜け、更に国道12号線へと、道路は広く非常にスムーズな走行です。気温は13℃と、革のツナギにアンダーシャツは「ミズノのプレスサーモ」を着用し、更にネックウォーマーを着用して丁度良い感じです。
今年の北海道の夏は、特に気温の低い状態が続いているのだそうです。寒さ対策の準備をしてきて、これもまた正解!
午前7時、国道12号線沿いのローソン(江別市内)にて、トイレ休憩とともに朝食時間としました。旅はまだ始まったばかりです。これからどんなドラマが生まれるか、そんなことを思いながら一路富良野を目指します。風景はどこを見てもパノラマで、道はどこを走っても広々快適そのものです。名もない場所でもどこをカメラに収めても、フレーム内の風景は北海道そのものです。
そんな快晴快適走行で気分は絶好調!午前9時過ぎ、あっと言う間に最初の目的地に到着です。この季節「富良野」といえばラベンダー。今朝、下船したフェリーの名前も「らべんだあ」でしたから、北海道の風景には、やっぱりラベンダーは外せません。訪れたのは国道38号線からすぐの「ラベンダーの海」。その名のとおり、海のようにラベンダーのうす紫色一色で、とてもきれいでした。
そして、渋滞でも何でも、ここまで来ればどうしても立ち寄りたい「ファーム富田」。
国道237号線から丘の見える方向へ入るとすぐの所なのですが、アクセス道路が狭くてすり抜けのできない予想通りの大渋滞!早朝からの走行で、時間的には余裕充分だったので、辛抱して渋滞に呑み込まれることにしました。時間は10時30分、気温も20℃を超えたような暑さを感じながらの約1時間の渋滞待ちとなりました。駐車場に着いた時には、さすがに疲れを感じました。
以前、バスツアーで訪れた時は6月末、花という花の開花は見られずに、温室内での観賞であったように記憶しています。でも、今回は全く違う場所へ来たようで、それはもうどこを見ても花、花、花の花盛り!写真で見る北海道だけにしかない風景でした。ホントに来て良かった!!
さて、次に訪れるのは美瑛。でも、その前にお腹が空いてきたので、国道237号線の深山峠PAにある「お蕎麦屋さん」に立ち寄って昼食休憩としました。時間はちょうど12時です。冷たい「おろしソバ」がとても美味しかった!
北海道は、峠越えといっても、なだらかな丘を越えていくような感じで、○○峠と標示されていても、それに気付かなければ峠を越えていることすら知らずに通過してしまいます。昼食休憩を取ったここ深山峠も、丘を越えるようなそんな感じの峠です。
峠を越えて、目指すは美瑛観光のメインポイントである「パッチワークの丘」。その名のとおり、パッチワーク模様のようにきれいで、絵になるような丘でした。いつまで眺めていても飽きることのない広大な田園風景は、ここに訪れた人々を無我の境地へと誘ってくれそうです。
本日の観光ポイントを無事クリアし、今夜の宿泊予定地である層雲峡へとバイクを走らせました。国道237号線を北上し、旭川から再度国道39号線を東進して愛別町に出ます。
この辺りから、山の合間を流れる石狩川を縫うように走る国道は、道央の東西を結ぶ中央幹線となっていて、とっても快適な道路です。気持ち良く走行しているうちに、両側に山の岩肌が露出して、切り立つように鋭くそびえ立つ「層雲峡」がすぐ目の前に見えてきます。
キャンプの買出しの途中、早朝の出発に備えて燃料を満タンにし、層雲峡周辺のキャンプ場を物色しました。そして見つけたのが「層雲峡青少年旅行村」です。テントはフリーサイトに張ることができ、とてもきれいなオートキャンプ場でした。テントの持込料1人500円と非常に格安です。早速ここに決めて設営に取りかかりました。
夕食は、コンビニ弁当に缶ビールです。徒歩で行ける距離に温泉がなく、キャンプ場に備え付けのシャワーのみで辛抱しました。だから、不満は温泉に入れなかったことぐらいかな。夜中はしんしん冷えました。
そこで一句
♪北海道 夏でもキャンプは 冬装備♪
おおッ?!さむーッ!!
本日の走行距離:324.7km
本日の燃料補給:18.77ℓ
早朝3時、お手洗いに行ってテントに戻る途中、ふと山間の狭い空を見上げると、そこにはいくつかの星が輝いて見えました。北海道に来ての初日は申し分のない晴天!今、星が顔を覗かせているところを見ると…。今日も晴れてくれると良いのになぁ…そんなことを思いながら再度シュラフにもぐりました。
午前5時起床、キャンプ場から見える狭い空は快晴!とっても爽やかな朝です。テントを乾かすのにも、まずは良い1日のスタートを切ることができました。今日の予定コースは、憧れの美幌峠、屈斜路湖、開陽台、そして、今回の北海道ツーリングの目的地「知床」と、今日、明日がメインです。
でも広大な北海道、これから向かう道東のお天気がどう変化していくのかわかりません。ケータイのⅠモードで調べる限りでは、これからの1週間は傘マークはありませんが…。「せめて今日と明日だけでも晴れにしてください!」そう祈りながらキャンプ場の周辺を一回り、朝の散歩に出かけました。
キャンプ場の受付に掲げられている案内板を見ると、コインランドリーは午前8時からの営業となっています。あって便利だと思っていましたが、午前8時からではちょっと遅いんじゃないの?
しかし、荷物が増える関係から、着替えは3日分しか持参していません。腹を決めて出発の遅れるのを覚悟の上で着替えの洗濯を済ませることにし、近く?(バイクで往復35分、距離にして約15km)のコンビニまで、朝食の買い出しに行ってきました。「オオーッ!さむッ!!」気温は10℃!
朝食を済ませて、洗濯も済ませて、テントの撤収も済ませてっと…出発が午前9時を少し過ぎていたように思います。でも、時間に自由なところがキャンプツーリングのメリットなんだから、この自由さをおおいに楽しまなければ…。そんなふうに思いながら最初の1泊をお世話になった層雲峡青少年旅行村のキャンプ場をあとにしました。
再び国道39号線を知床目指して走ります。道中、石北峠を越えて緩やかな長い下り坂を下ったところに、「ありました、ありました。友達に教えてもらっていたお土産屋さんが…。」その名は「北きつね牧場」です。「ツーリングマップル」にも載っていましたし、折角なので立ち寄ってみました。
お土産を先に買って送っておけば気が済むとの思いから、お店の方にすすめられながら、ここでひととおりのお土産を選んで買ったので、あっと言う間にお昼の12時を過ぎてしまいました。
何度も止まるのもたいへんだからと、お土産売場の横が「かにラーメン」とありましたので、ついでに昼食もここで済ませてしまいました。
今夜のキャンプの酒の肴に、茹でた毛がにを2杯仕入れて店を出ました。いろいろサービスしてくださった「北きつね牧場」の大石さん!どうもありがとうございました。
あぁ…いくら自由なキャンプツーリングでも、知床は遠く、北海道はとてつもなく広大です。時間には限りがあり、どこかでゆっくりすれば、どこかで必ず急ぐ必要がでてきます。行けばまた、どんなに遅くとも、7月25日の小樽港出港時刻の午前10時まで必ず戻らなければ帰れません。知床から真っ直ぐ小樽に戻るにしても、来た時間とほぼ同じだけ必要でしょう。そう考えると、少し時間を無駄使いし過ぎたかなぁ…。
予定では本日の寝床は「知床国立公園羅臼温泉野営場」です。しかし、今の進行状況では、知床までの半分の距離も進めません。最悪時間に余裕がなくなれば、キャンプは諦めてライダーハウスに泊まるようにしよう。そうすれば、テントの設営と撤収の時間が省けるため、この時間だけでもかなり距離は稼げる。ふたりでそう決めて、次の「見どころ、走りどころ」の美幌峠へと、予定通りのコースでバイクを進めます。
美幌峠では、頂上の道の駅「ぐるっとパノラマ美幌峠」で休憩し、少し霧で霞んではいましたが、その眺望に感動!下りの峠から望む屈斜路湖は、これまたカメラに収めきれないパノラマで、絶景に感動!!北海道は、どこへ行っても感動の連続です。
この頃すでに、時間は午後の4時過ぎ。そろそろ今夜の寝床を物色し、テントの設営に取りかからなければなりません。峠を下り、屈斜路湖畔を走行中、見つけました。湖畔の「砂湯」キャンプ場。
テントサイトは、自由に設営はできますが、車やバイクを指定の場所に駐車させて、テントや荷物は備え付けのリヤカーで運ぶことになっています。少し面倒ではありますが、売店があるし、他を当たっていては日没時間となってしまうので、早速、キャンプ場の受付にて1泊の申し込みをしました。
ところが、宿泊OKをいただくも、売店は午後6時に閉店するとのこと。やむを得ず、まずはテントの設営を済ませて、温泉を探すと同時にビール等もどこか別のお店に買い出しに走ることとしました。
テントの設営後、来た道を戻る形で、温泉とコンビニを探しましたが見つからず、戻ってその先を探してみると、ありました。地元の方々が利用する公衆浴場。そして少し向こうにはコンビニが…。北海道は広いから、探すのもひと苦労します。
それでも、温泉で汗を流せば、そんな苦労も吹っ飛んでしまいました。ひと風呂浴びたあとは、今日の昼食時に仕入れた毛がにで乾杯!僕達の隣で、ひとりテントを張っていた東京からのお兄さんも交えて、3人で毛がにを分け合い、ビール片手にツーリング談義に花を咲かせては、ロマン溢れる思い出の一夜を過ごしました。
本日の走行距離:248.5km
本日の燃料補給:6.9ℓ
本日は、北海道に渡って最初の平日です。それでも学生達は夏休み。たくさんのツアラーが、この北海道を訪れていることでしょう。今日もどんなドラマが待っているのか楽しみです。
今日の予定コースは、ここまで来て省くわけにはいかない北海道の定番観光地の「摩周湖」。私はバスツアーで1度訪れてはいますが…。隼くんは初めてだし、硫黄山から摩周湖までの道中は、バイクでなければその眺望の楽しみも半減してしまいます。次に、地球がまるく見える「開陽台」。
そして、今回の目的地である「知床」へと、北海道ツーリングのクライマックスを迎えます。今日の宿泊は、昨日の遅れを少しでも取り戻すためにも、キャンプをやめ、ライダーハウスを利用することにして帰路に向かうこととしました。
そう決めて、最初に訪れたのは「たまご!たまご!たまごーッ!!」と、噴出す硫黄で茹であがった卵を売る卵売りの声が高らかに響く硫黄山。次に向かう摩周湖までのワインディングロード。そこから望む屈斜路湖等のパノラマの絶景。そして定番の摩周湖。ここはやっぱり霧の・・・でしたが、それ以外は、本日も好天に恵まれて、どこを見ても最高の眺望を楽しむことができそうです。
摩周湖展望台の駐車場では、当時の憧れのバイクであり、現在でも究極のマシンと言える「HONDA CBX 1000」が駐車されていました。並列6気筒DOHC24バルブ1047ccのエンジンは、眺めているだけでも胸の高鳴りを覚えるほどきれいに磨かれ、25年の歳月の経過を全く感じません。
ちょうどそこへ所有者が現れたので、早速お願いしてカメラに収めさせていただきました。なんと彼女?とタンデムツーリング!
究極のマシンに遭って、何だかタイムスリップしたかのような余韻を残しながら、中標津町を開陽台へと直線道路を再びひた走ります。地元農家の軽トラックを追い越したところで、養老牛付近で進入路の標識を見落としたことに気づき、少し行き過ぎたところでUターンしては、標識の確認に戻りました。
見落とした標識のある交差点が進入路であることを確認して、隼くんの待つ場所まで戻ってみると、先ほど追い越した軽トラックの地元農家のおじさんに、何やら赤い物をもらっているではありませんか。隼くん曰く、マナーが良いからと、ビニール袋にたくさんのイチゴをいただいたとのこと。
ひとつ食べてみると、甘くてとても美味しい!地元の農家の方曰く、「内地から来るバイクは、この真っ直ぐな道をビュンビュン飛ばしていくだけで、地元の農家にとっては迷惑なだけだが、あんたのゆっくりと会釈して追い越していく姿を見て、マナーの良いライダーもいることに感心したよ。」と言っていたとのこと。何だか同行している私まで良いことをしたかのように気分良く、心がほのぼのとしたのを覚えています。
標識を確認した開陽台への進入路。その進入路もまた直線道路。時折、農家の大型トレーラーが、信号のない交差点に突然進入してきます。そんな中、次の開陽台への標識をまたも見落として、隼くんに笑われてしまいました。
「とまれ」の標識に気を取られ、その上にある青い大きな案内板を見落として、左折しなければならないところを直進してしまったのです。バックミラーでついてこない隼くんに気づいたときには、200m~300mは通過していました。戻って見ると、そこには青い大きな左折の案内板が…。トホホッ!
やっと着きました。地球が丸く見える開陽台。今日はその地平線も、霞みがかかって少しぼやけて見えています。それでも、本当にここは日本か?と疑うほどの「大陸」です。
開陽台をあとにして、さぁ!知床に向かうぞ!その前に、時間も正午を過ぎる頃です。お昼の腹ごしらえをしておかなくては…。標津町の、とある食堂に立ち寄り、私は「豚のしょうが焼き定食」、隼くんは「ラーメンセット?」。出された料理のボリュームのすごいこと!!それなのに格安で美味しい!!何と言う名のお店だったのか、忘れてしまったのが何故か心残りです。
昼食を終えて、これからは一路「知床」へ!国道335号線に出て北へと向かううちに、少しずつ形を変えて大きくなっていく国後島。天気は薄曇り、途中、道の駅「知床・らうす」にてトイレ休憩。そこで出遭った和歌山ナンバーのバイクツーリングの人曰く、「今、知床峠を走ってきたのですが、曇っていたのと、すごい霧で霞んでいて何も見えなかったんですよ。」と、少し期待はずれのような語り口で話してくれました。
しかし、我々だって、ここまで来れば雨が降ろうが、槍が降ろうが、日程的に遅れていることでもあるし、どうしても行かねばなりません。ところが、今日、今から行くと決めた途端に北東の空が水平線から明るくなり、やや青空さえ見え隠れしはじめました。
憧れの「知床峠」に差しかかる頃から、なんと空は急速に明るさを増し、辺り一面を青空が覆ってきています。頂上付近の大きなコーナーを過ぎた頃、廻りを眺めながらふと後ろを振り返ってみると、そこには真っ青な青空をバックに、まるで絵に描いたような「羅臼岳」がこちらに迫ってくるかのように悠然とそびえているのが見えました。誰でもカメラを向けて永遠に時間を止めておきたい光景です。
♪和歌山を出て知床に 遥遥来ても羅臼岳 すべて見る人 見えぬ人 その差はどこに あるのやら♪
我々は、幸運にもすべてを見ることができました。神様!!どうもありがとうございました!!おかげさまで、最高の知床ツーリングができました。
いやいや、まだまだ続く知床半島の旅です。せめて今日1日だけでも、この青空のままでいてください!そう祈りながら、快適な知床横断道路に心地よい排気音を響かせて、次の観光目的地である知床五湖までの気持ち良い走りを楽しみました。
爽やかな風を受けて走る知床横断道路は、いつまでも心に残る思い出の道となりました。ここは、絶対のオススメロードです。死ぬまでに是非もう一度走りたい道です。
そして、知床五湖。ここでも青空を味方に付けて、湖面に映す雄大な羅臼岳と知床連山を望むことができました。湖と森の緑とのコントラストの美しさは、PCの壁紙にでもできそうな自然美で、見るものを釘付けにしてしまうほどの美しい風景を形作っています。
ちなみにこの日は、1湖、2湖の観光はできましたが、他の3湖については、熊が出没する恐れがあって危険なため進入禁止になっていました。
知床五湖なんだから、5湖のすべてを見て廻りたいという思いがあったので、なぜか物足りなさが残りました。まぁ…熊も熊ですが、時間の都合上、割愛したことに、しーよおっと!
知床五湖を見ての帰り、突然出て来た(きた)きつね?!それをカメラに収めようとして?急停車する前方のワゴン車!私も出て(きたきつね)に気を取られてよそ見をしてしまいました。
前を見ると、そこにはワゴン車が!(☆_☆)おっとっとっ!!おぉ…危機一髪での回避…胸を撫ぜ下ろしました。そう言えば、道中のあちらこちらに「野生動物飛び出し注意!」の看板が立てられていましたが…。まさか私の目前で…おぉ…冷や汗が…。
気を取り直して、次は「オシンコシンの滝」を目指してバイクを進めます。オシンコシンの滝は、国道334号線沿いにある知床半島最大の滝で、その流れは幅広く2筋に分かれてオホーツク海へと流れ落ち、非常に雄大な滝である。
さて、時間も午後4時30分、そろそろまた今夜の寝床を決めなくてはなりません。斜里町にあるライダーハウスで一夜を過ごすべく、地図を頼りに地元の方々にも尋ねながら探しましたが、道路工事に行く手を阻まれ諦めました。これで30分以上も費やしてしまいました。
別のライダーハウスまでは、44㎞先の網走市まで行かなければなりません。到着時間が少し遅くなるかも知れませんが、地図にあるライダーハウス「ランプ別館」の文字を頼りに尋ね廻りました。そして、やっとの思いで探し当てた時には、すでに午後7時を過ぎていました。それでも1泊をお願いすると、ランプのオヤジさんは、こころよく引き受けてくれました。
しかし、別館と言っても、そこは古びた空家。その前の草むらの空地にバイクを駐車させる。「おにいさん!俺が案内するよ!こっちだよ、こっち!」そう言って案内してくれたのは、東京からの今夜の泊り客のおじさんです。バイクはといえば、な、な、なんと、ヤマハのアクシス100!!驚いてしまいました。
ランプ別館での今夜の宿泊客は、このおじさんと私達2人の計3人。ライダーは民宿ランプにもう1人いましたので、計4人です。私達以外は、2人とも60才代で、悠々自適の生活を送られている方々でした。
アクシス100のスクーターで東京から来られた方は、「お盆には帰ろうと思っているよ。」とおっしゃっていました。また、もうひとり、ヤマハのドラッグスター400で大阪から来られた方は、帰る日は決めていないとのことでした。夜は、バイク旅談義に花を咲かせて、早い目に床に着きました。
本日の走行距離:310.6km
本日の燃料補給:21.1ℓ
今日も午前5時起床。JR網走駅周辺までの約1時間のウォーキングで体調を整えました。そして、朝食をいただくために民宿ランプに戻って見ると、早朝6時、ドラッグスターのおじさんは、早速バイクへの荷物の積載作業に取り掛かっていました。
私達が出発の準備をしている間に、すでに準備が整い出発しようとしています。今日は、これから女満別の方面を旅するとのことでした。記念に写真を1枚撮らせていただき、旅の無事を祈りあってお別れしました。
アクシス100のおじさんは、お年に似合わず現在風のデジタル派で、バイクへ搭載可能にと、取付ステーを自作してまで搭載したGPSナビ、それに、デジタルカメラにデジタルビデオカメラ。ビデオカメラをも走行中撮影可能にしてしまう!すごいパワフルおじさんです。
アクシス100で、昨日「カムイワッカ湯の滝」へ、あと1kmの所までがんばってダートを走らせたにもかかわらず、わだちにハンドルを取られて転倒してしまったそうです。ケガは大事には至らなかったが、転倒の衝撃でアクシスの風防にひびが入り、バックミラーは割れ、搭載して使用していたGPSナビも、取付ステーが折れて搭載不可能な状態です。バイクにも所々に痛々しいキズを付けていました。
ステーが折れて搭載できなくなったデジタル機器は、無造作にシート下のトランクに入れられています。今日は、100均(100円均一ストアー)に寄って、バックミラーを買うとのことで、開店時間になるまでここに居ることにしたそうです。この方とも記念写真を撮って旅の無事を祈りあい、私達は一足お先に出発です。
今日も、ライダーハウスに宿泊することで、できるだけ距離を稼ぐことにして、遅くとも旅の最終予定日には小樽港に着けるよう、宗谷岬方面へのツーリングを楽しみます。
国道238号線から能取湖やサロマ湖を見て通り、右にオホーツク海、左に原野の開けた真っ直ぐの道が延々と続きます。途中、昼食休憩で入ったのが、道の駅「おこっぺ」。おこっぺとは町の名前、興部(おこっぺ)町のおこっぺで、怒っているわけではありません。
宗谷岬到着は、午後4時30分。そろそろまた、今日の寝床を探す時間です。日本最北端の地で記念撮影をして、稚内まで足を延ばし、ライダーハウス「最北端みつばちの家」での1泊と決めて探し廻りました。
お弁当屋さんでお兄ちゃんに尋ねるも、探す途中、先に「ライダーハウスみどり湯」の看板が目に入りました。コンビニがそばにあって、隣が銭湯になっていて…ええいっ!もう、ここに決めよっと!
早速、宿泊の申し込み。とってもきれいで、それでいて一泊がたったの1,000円ポッキリ!大きな銭湯が隣で、コンビニがすぐそこ!すでに2~3人が入っていました。今夜は、最終的に男性6名、女性3名で合せて9名の泊り客。私達と他1組がグループで、他の5名はソロです。それも昨夜とは打って変わって、大学生等のパワー溢れる若者ばかり!なぜか1名のみ変なおじさんが浮いてます。
みんなで夜遅くまで、酒宴を交わし、カラオケで盛り上がりました。ここでは、ソロでのツーリングでも、夜の淋しさなど無縁です。バイクツーリングという同好の士が北の大地に思いを馳せる。話題は尽きることがないのです。ツーリングでの、こんな北海道の旅の思い出を、死ぬまでにあと幾度作れるだろうか。やっぱり、来年も来たい!!
楽しい時間は一瞬にして過ぎていきます。私は倍以上のお年…。12時です。お先におやすみなさーい!
隼くんは、若いみんなと…。いやいや…翌朝、聞くところによると、昨夜一番最後に来た東京からの彼女…。1日で小樽からここ稚内まで走行し、途中で立ちごけして、前ブレーキのレバーを曲げ、バックミラーも折ってしまいましたとさ…。これでは走行不可能で、これからのツーリングは中止に追いやられてしまいます。
遥遥やって来た北の大地。このまま終わらせてしまうのは、あまりにも可哀想!と、それを見兼ねた隼くん。メカに強い彼は、酔った身体にムチ打って、早朝4時まで、見ず知らずの彼女のCBR600を応急修理!!ブレーキレバーは隼のものと交換!左のミラーを右に取付!
彼女のバイクは、これでどうにか北海道のツーリングを無事終えることができるでしょう!自分のバイクを見ては、お礼を言いながら喜ぶ彼女の顔を、今も忘れることができません。
また良いことしたね…。隼くん!
本日の走行距離:373.4km
本日の燃料補給:14.87ℓ
さあ!今日はもう、北海道ツーリングの最終日です。明日は午前10時から、小樽港から再び舞鶴港へと復路の長い船旅です。本日、夜は小樽での一泊を予定して、今日のコースは、サロベツ原野とオロロンライン。そして、国道232号をひたすら南下の予定です。
一泊をお世話になった「みどり湯」の女将さんにお礼を申し上げ、一夜を共にしたみなさんとも、無事を祈ってお別れのご挨拶。まずは、ノシャップ岬へと向かいます。
走行中、隼くんの様子がおかしい。どうも、フロントブレーキを交換してあげたことによるブレーキの引きずり現象が原因で、このまま走り続けられないとのこと。一旦ブレーキを外し、リヤブレーキのみでノシャップ岬まで行きました。
帰路に向かっているとはいえ、小樽まででも300km以上の距離、それをリヤブレーキのみで走るのは、あまりにも危険過ぎます。ここで少し時間をかけてでも、直せるものなら直したい。
隼くんはがんばって、持参のヤスリを片手に、ブレーキレバーの不要部分を必死の思いで削り始めた。
しかし、ほんの2~3mmを削り取るにも、短時間では不可能です。朝食の摂っていない空きっ腹状態では、手に力も湧いてきません。そこへ現われた、まるで見るからに仙人のような、白い髭を長々と蓄えた熟年の男性。私達のバイクのナンバーを見ては、「よう来たのう…よう来たのう!」と言って話し掛けてきました。
「和歌山からバイクで…よう来たのう!わしは奈良じゃが…和歌山へもよう行くんよ。川湯とかね…」などと話し、隼くんのブレーキ修理作業の様子を見て、「そらそうと…何してんのよ。どっか故障か?」と聞かれ、事情をお話すると、「そんな…見ず知らずの人を助けたやなんて…今時の若者にはないことや!そりゃあ…良いことしたのう…。」とお褒めの言葉をいただくや、隼くんのブレーキレバーをヤスリで擦っているのを見て、「それでは(そんなヤスリでは)ちょっといかんぞ…わしの鋸じゃあかんか?」と、大型のキャンピングカーから鉄鋸を出してきてくれました。
おかげさまで、わずか2~3分で応急修理ができ、本当に助かりました。ありがとうございました!そしてまた「今の政治を変えないかん!老人福祉も大事だが、そっちにウエイトを掛け過ぎとる!若者が働く場所もなく困ってる時代に…これでは子育ても満足にできんじゃろ!もっと、若者が政治に関心を持たないかん!そして、自分たちで社会を変えていくんだという気迫を持つことじゃ!」などと熱弁を奮っては、若者への叱咤激励とも取れる話をされました。
このおじさんは、大型のキャンピングカーで、季節に合せて冬は暖かい所へ、夏は涼を求めては全国を廻っているらしい。また、いつかどこかで遭うかもしれないと、記念の写真を撮らせていただき、お礼とお別れの言葉を申し上げて、先を急ぐので、ここノシャップ公園をあとにしました。
おじさんのおかげで、どうにか安全走行が可能となった「隼」。今回最後のメインロードである「オロロンライン」を目指して、再び走り出すことができました。
左にサロベツ原野、右斜め後ろの海の向こうには、利尻島が霞んで見えます。オロロンライン。そこはただ真っ直ぐの道があるだけで、電柱もガードレールもありません。何もない原野の海岸沿い。そこを突き抜けるように走る真っ直ぐな道。おぉ…この壮大なスケールに感動!!
オロロンラインを南下し、国道232号線沿いに見つけた「ウニ丼」の看板の店。ちょうど昼食休憩の時間でもあり、最後の北海道グルメを口にすることにしました。出されたウニ丼、それはそれはピカピカ光るウニの山。うまいのナンのって!もう!最高の贅沢に舌鼓を打ちました。ちなみにここは苫前町の「軽食喫茶ココカピウ」。えぇッ?!これで軽食?!あぁ…大満足!!
ウニに満足したところで、小樽を目指して再びバイクを走らせます。留萌に着く頃に微かな睡魔が…。我慢しながら走っていると、まるでウニに睡眠薬でも含まれていたかのように、強烈な睡魔が繰り返し容赦なく襲ってきました。堪え切れずに、留萌の町のコンビニでガムを買って小休止。
留萌を過ぎたころからは、今までの直線道路から、緩いコーナーの続く断崖絶壁の道路に変貌です。この辺りが断崖絶壁で有名な「雄冬岬」かな?と思いながら、いくつかの長いトンネルを越えたころに再び睡魔が…。やはり長旅の疲れが出てきたか?このまま走行し続けるのは、あまりにも無謀過ぎる。
ちょうどそこに公衆トイレのある公園が…。名前は厚田公園。ここでしばらく休憩をとることにしました。ここまで来れば、もう急ぐことはありません。小樽まであと60km程度ですから…。時間は午後3時。大休憩を入れても、このままスムーズに走行できれば、午後5時には小樽に到着できるでしょう。
午後3時30分。帰りたくない。けど、帰らなければ…。こんなに、全行程が好天に恵まれた北海道ツーリング。もう、二度と味わえないかもしれない。そう振り返りながら、じっと目を閉じて思い出を噛み締めました。終わりに近づいてはいるものの、まだ終わってはいない。さあ!最後まで安全運転で…無事故無違反で帰れるように…そう誓って再びバイクに跨りました。
石狩川を渡るころから景色は徐々に都会化し、国道231号線から337号線へと片側4車線の広い道路に入っていきます。大都市「札幌市」の郊外を通り抜け、国道5号線に出ればもうすぐ小樽市です。今日の寝床は、小樽駅の「観光案内所」で探索依頼をすることにしました。
午後5時30分。小樽駅に到着です。駅前駐車場に隼くんを待たせては、早速、観光案内所へ。とても親切丁寧に教えていただき、フェリーターミナルに最も近くて、その上、割安の宿を見つけることができました。その名は「魚松旅館」です。電話予約を入れてみると、夕食の準備はできないけれど、もちろん宿泊OK!
魚松旅館の所在地は住吉町です。来た道を少し戻ります。ところが、近くまで来ているはずなのに、なかなか見つけることができません。何度か尋ねながら、やっとの思いで見つけました。でも、その喜びも束の間。なんと、隼のチェンジペダルが折れた?!何かにぶつけたわけでもないのに…まさか折れるとは…。
しかし、こんなことぐらい(私の頭の中では、リタイア!)で、めげるような隼くんではありません。近くの蕎麦屋で腹ごしらえをして、疲れた身体を奮い立たせ、またしても(得意の?)応急修理です。スパナを添え木に針金絞めで、どうにかシフト操作を可能にすることができました。さッすが!隼くん!やるジャン!!
応急修理が終わったあとは、旅館の部屋にてビールで乾杯!祝杯を上げました。一時はどうなることかと心配しましたが…当の本人は、何食わぬ顔です。隼くんの辞書に不可能の文字はありません。隼くん!お疲れさん!今回の北海道ツーリングは今日で終わっても、これからも心強い「My touring friend」でいてください!!
本日の走行距離:333.5km
本日の燃料補給:14.0ℓ
柔らかいベッドでゆっくり休んで、北海道の最後の夜が明けました。天気は快晴。とても爽やかな朝です。旅館の女将曰く、この辺りも、冬は深い雪に覆われるとか…。でも、道路は雪を解かす設備が完備されているので、通行には支障がないそうです。
夕べは、とんだハプニングで時間を奪われ、小樽見物もままならない状態でしたので、今度また機会があれば、是非この魚松旅館を利用して、小樽見物を予定に組み入れたいと思います。
魚松旅館は、フェリーターミナルまでバイクでわずか5分の所に位置します。出港時間が午前10時なので、旅館でゆっくり朝食が摂れて、北海道ツーリングの帰路の拠点にできそうな、とっても便利な場所にある格安旅館です。午前8時30分。魚松旅館の女将にお礼を申し上げ、後ろ髪を引かれるような思いでフェリーターミナルに向かいました。
フェリーターミナルに到着すると、そこには、すでに何台ものバイクが停められ、乗船を待っていました。乗船までの時間、ターミナル内で買い忘れていたお土産を購入し、バイクに戻ってしばらくすると、もう乗船のアナウンスが流れ、バイクが先に乗船です。
帰りのフェリーは「らいらっく」と言う名前で、往路での「らべんだあ」に比べて少し古さを感じます。でも、荷物は駐車するバイクの前の網棚に載せておくことができ、客室まで運び込まなくて済むのが「らべんだあ」と比べて良いところでしょうか。
舞鶴港到着時刻は、明日の午後5時。再びロングクルージングの始まりです。甲板に出ると、素晴らしい!と驚嘆してしまいそうな青い海と青い空。水平線が丸く見えます。これから約30時間。何もすることがない。いや、何もしなくてよい贅沢な時間を使うのです。
フェリーの中では、時間はゆっくり、ホントにゆっくりと、これ以下のない早さで流れます。青く澄んだ水平線に沈む夕陽が驚くほどきれいでした。
ここで、小樽に向かうフェリーと出会います。行きと同様、帰りも特別のおもてなしによるグリルでのランチ & ディナーです。うまいビールでゆっくり夕食をいただき、さあ…風呂にでも入るか。あぁ…何という贅沢な時間の使い方!帰ったらまた、月曜日から普段の日常生活が待っています。できるのは今だけ、今だけ!
本日の走行距離:0km
本日の燃料補給:0ℓ
翌日、午後3時30分頃、島々が見え始めました。舞鶴港はもうすぐ。空はどんよりと、今にも降り出しそうな雲行きです。午後4時過ぎには、舞鶴港が見えてきました。下船の準備を整えてから、近づいてくる舞鶴港をカメラに収めるべく、また甲板に出ました。霧雨です。
フェリー「らいらっく」は、予定通り午後5時、舞鶴港に到着です。荷物をバイクにくくり付け、そのまま一旦は下船を終えたものの…行きも帰りも、舞鶴は今日も雨だった!レインウエアに身を包み、舞鶴自動車道へ。雨はすぐに止んで青空も広がり始めたので、次の綾部PAでレインウエアを脱ぎ、そこで簡単に夕食を済ませておくことにしました。隼の応急修理したチェンジペダルも、どうにか和歌山まで持ちそうです。
これから和歌山までの最後の高速ツーリング。無事に和歌山まで帰れるように気合を入れ直しました。近畿自動車道へ入るころに、燃料残量警告灯が点灯!そういえば、最後に燃料を補給したのは…そうか…小樽で旅館に着いてから、隼チェンジペダル断裂ハプニングで燃料補給を忘れていた…。
しかし、またしてもここは高速道路。次のSAは岸和田までありません。昨年5月の瀬戸大橋ガス欠事故が一瞬脳裏をかすめましたが、確かファイヤーブレードの警告灯点灯時の残量は3.5ℓのはずです。燃費計で20km/ℓと標示させて走れば、70kmは走れる計算。吹田から岸和田まで、どう考えても70kmもないはずです。隼はタンク自体がタップリサイズ。ぎりぎりセーフで行けるでしょう。
スロットルをゆっくり開いては、燃費の良い走りに徹しました。岸和田料金所に着いた時、もう大丈夫と思いました。北海道内では常に燃料に気を配っていたのに、ツーリングの土壇場で冷や汗ものでした。なのに、岸和田SAでの満タン補給が14.85ℓ。まだ残り3.15ℓある計算。どうなってるの?冷や汗かいて損した気分です。
和歌山IC到着時刻は、午後9時過ぎ。ドラマチックなまでのたくさんの出会いと、ハプニングも交えた数々の思い出を残し、ふたりとも元気な身体で帰着できたこと、ホントにうれしく思います。
○○くん、こんなおっさんのお守りをさせて、どうも申し訳ございませんでした。これに懲りずに、これからも、末永くお付き合いくださいますよう、どうぞよろしくお願いいたします。
m(_ _)m ホントにどうもありがとう!お疲れさまでした。
そして、最後までお読みいただいたあなたにも、深く深く御礼申し上げます。
本日の走行距離:231.7km
本日の燃料補給:14.85ℓ
総走行距離:2,053.6km
総燃料補給:104.29ℓ



