箱根ウォーク2001
【もくじ】
11/1>和歌山~小田原~大涌谷~箱根湯本(あまゆ荘)
11/2>箱根湯本~桃源台~箱根園~駒ヶ岳~元箱根~桃源台(国民宿舎小田急箱根レイクホテル)
11/3>桃源台~箱根ガラスの森~箱根湯本~小田原~和歌山
バイクでのツーリングコーナーでもご紹介させていただいているとおり、1998年10月31日、2泊3日で「富士箱根」への旅と題して芦ノ湖周辺と山中湖に訪れてはいますが、今回は妻が是非行きたいと言うことと、もう一つ箱根登山電車のスイッチバックを体験したいとの思いから電車での妻との二人旅となりました。
(2001年11月1日~3日)
妻との二人旅は、お互いに何の気兼ねもいらないので、道中は誰といっしょに行くよりも一番愉しめます。出発の何週間も前から天気だけが気にかかり、インターネットに週間天気予報が載ってからは、前日まで毎日のようにやきもきしながら見ていました。
予報での3日間は「晴れ、晴れ、くもりのち雨」とまずまずの天気の模様です。3日目から天気が崩れそうなので予定を前倒しに変更し、観光の予定地へは1~2日目にほとんどを廻れるように計画を組み直しました。
バイクでのキャンプツーリングでは、旅行中の天気がまず間違いなく晴れとなりそうな日を選んで、よし!っとばかり思い立ったが吉日のごとく出発できるのですが、旅館等を利用する旅行の場合は、何ヶ月も前から予約を必要とするため、天気のことで出発当日まで心配が付きまとうものです。
心配した天気も、出発当日は貫けるような青空の広がる絶好の秋晴れとなりました。朝起きたとたん外に飛び出して「おとうさん!晴れてるよ!」っと妻のうれしそうな声が聞こえました。
はやる心を押さえてリュックを背負い、JR駅までの20分を爽やかに晴れ渡る青空の下を歩く気持ちの良さは、これから旅に出るという快感とが交差して最高の気分です。妻は、毎日の家事から少しの間だけでも逃れられるのが一番の喜びだそうです。ここのところが夫婦でも旅気分の違うところかな?
新幹線を利用して小田原駅に着いたのが午前11時30分。先に駅の近くで昼食を済ませてから、待望のスイッチバックを体験できる箱根登山電車に乗ることにしました。小田原駅で、平日の箱根の周遊に便利でお得な「箱根ウィークデーパス」を購入し、さあ乗車で~す!
箱根は紅葉にはまだ少し早いものの、好天とも手伝って、登山電車からの山間の風景が旅情を盛り上げます。電車は最初の1000分の80以上の急勾配をゆっくりと力強く登り始め、水面から43mの「出山の鉄橋」を渡り、初体験の「出山のスイッチバック」です。運転手と車掌が交替、これまでの最後部が最前部となって、次の「大平台のスイッチバック」まで登ります。
車窓の景色を見ていると、切り返すたびに標高が上がっていくのが見て取れます。この急勾配を登るためのスイッチバックもさることながら、半径30mという急カーブを曲がるというのもすごい!車体が折れ曲がりそうになります。よくもまぁ、このような山間に鉄道敷設工事ができたものだと驚かされました。それも聞いて驚くなかれ、開通は大正8年6月だそうです。何はともあれ初体験でびっくり!びっくり!の箱根登山電車です。
箱根登山電車の乗車体験もあっという間に終了したところで、最終日11月3日の天気の悪化予報も視野に入れ、大涌谷まで足を進めておくことにしました。本日初日の宿泊予約地は箱根湯本駅から徒歩20分のところにある「あまゆ荘」。泊まるためには、大涌谷までの来た道を戻らなければならないこととなるが、そこは「箱根ウィークデーパス」の威力です。
何回乗り降りしても自由のフリーパス。あっという間に終わってしまった箱根登山電車をもう一度体験したいし、こんなことをできるのも、このフリーパスのおかげ。この好天気がいつまで続くか分からないし、ロープウェイからの眺望を見るのは今日しかないと判断したのです。
そう決断したところで、早速「箱根登山ケーブルカー」へ乗り込みました。箱根めぐりは公共の乗り物が豊富で、また、このフリーパスを利用すれば箱根の6つの乗り物の箱根登山電車、箱根登山バス、箱根登山ケーブルカー、箱根ロープウェイ、箱根観光船、小田急箱根高速バスが何回でも乗り降り自由です。
これらの乗り物を利用することで、箱根の大半を観光できるのでとても便利で安上がりです。箱根観光は、電車 & ウォークが最適だと思いました。そんなことを思いながら、ケーブルカーは早雲山の駅に到着です。
続いて早雲山駅からは、箱根ロープウェイでの箱根の空中散歩です。私は以前バイクでのソロツーリングで箱根を訪れ、この箱根ロープウェイにも乗ったことがありますが、妻はすべてが初体験らしく、周囲を見回しては眺望の素晴らしさに驚嘆しきりです。
この箱根ロープウェイのゴンドラは定員が13人と小型で、77両のゴンドラが運転間隔約1分で運行するという形で、リフトを大型化してゴンドラにした感じです。昭和34年の開業とすでに老朽化が目立ち始めたためか、今、新たにその隣へ新しいロープウェイの工事が進められています。2002年6月の完成とのことでした。
大涌谷駅到着後、富士山の雄大なその姿と周囲の眺望に目を奪われ、しばらくは写真撮影すらすることなく景色ばかりを見入っていました。大涌谷は、箱根火山最後の噴火によって誕生した神山爆裂火口の跡で、山肌の至るところから白煙を上げ、あの鼻につく硫黄の臭気が辺りに漂っています。
午後3時を過ぎた頃、今夜の宿泊地である箱根湯本の「あまゆ荘」まで、今来た道を再度引き返し、箱根登山電車の下りスイッチバックも体験して、楽しい乗り物のおもしろさを心ゆくまで堪能できました。
「あまゆ荘」は箱根湯本駅下車徒歩20分のところにあり、湯本駅より「早雲通り行き」送迎バスにて約5分です。この旅館の特色は露天風呂にあります。「大野天風呂」と題して、それはそれはまったく手の加えられていない自然がそのままの静かな木立の中で、順番に貸切で入浴できる混浴の大露天風呂は最高です。ここだと夫婦貸切で入浴できるので、特に平日は旅の雰囲気を損わず、ゆっくり入浴できます。
昨日は、3日目の天気の崩れを予想して、前倒しでの大涌谷までの観光を愉しみましたが、今日は同じ大涌谷までのコースをもう一度ゆっくりと、時間をかけて観光に専念するといった気分です。昨日一度来た道なのに、今日はまた違った景色に映る車窓からの風景は、やはり箱根ならではといった感じです。
大涌谷から姥子まではロープウェイを利用せず、姥子自然歩道からのウォーキングによる大自然の醍醐味とそこからの富士の眺望を思う存分味わいました。それからは、姥子駅から再度箱根ロープウェイに乗り、芦ノ湖の湖畔の駅である桃源台へと下ります。
次なる本日2日目のコースは、芦ノ湖湖畔の池尻からバスで箱根園へと足を伸ばし、そこから駒ケ岳ロープウェイで♪箱根の山は天下の剣♪と歌われた駒ケ岳山頂からの箱根の庭の絶景を眺めます。
しかし、この日も好天気なのですが、あいにく富士山方面や周辺には広範囲に雲がかかり、スケールの大きい富士山を含めた箱根の庭の大パノラマを望むことはできませんでした。残念がる私を尻目に、駒ケ岳の山頂に立つのが初めての妻は、そんな私の心境にはまったく同じず平然としています。初めて見る人は皆こうなのかなぁ?と思い、いつまで待っても見えてくるはずもない絶景はあきらめざるを得ません。せっかくなので山頂の箱根元宮にお参りし、今回の旅の無事をお祈りして下山しました。
駒ケ岳山頂からの富士の絶景をあきらめたところで、箱根園からまたバスに乗り、元箱根からはフリーパスを利用して箱根観光船を愉しみながら、箱根ロープウェイを下りた「桃源台」からすぐ近くの本日2日目の宿泊地である「国民宿舎小田急箱根レイクホテル」へと戻ることにしました。
国民宿舎小田急箱根レイクホテルは、昨夜の箱根湯本の「あまゆ荘」のように、何から何まで上げ膳据え膳とはいきませんが、施設そのものが広々としていてとてもきれいで、周囲に気兼ねの要らないところはホテルならではの良さだと思いました。明日はもう帰りの途に着かねばなりません。今夜はゆっくり休んで、明日の天気が午後から雨という予報を覆せるよう祈りながら早めに床に着きました。
午前6時30分起床。朝風呂で身体を温めスカッとした気分になりました。窓を開けて天気の様子を見てみると予報どおりの曇り空です。好天気のうちに箱根フリーパスの一通りのコースは消化できたので、当初の予定を変更して少し前倒しに計画したのが良かったようです。
本日最終日は更に計画を変更して、妻が行きたいと言っていた「箱根ガラスの森」へ立ち寄り、箱根湯本駅へ戻る箱根登山バスを利用してのコースを取ることにしました。桃源台でお土産等の買い物をして、バスの出発時間までしばらくゆっくり過ごしました。
「箱根ガラスの森」までは、バスは「仙石原大原のススキ原」の前を通り、ちょうどその辺りで車の渋滞となり、車窓からの美しいススキの群落をゆっくり見ることができました。
「箱根ガラスの森」への到着は午前10時と早い目に到着できたのですが、すでにポツポツと雨が振り出し始めました。ここは館内のガラス製品の鑑賞が主なので天候に左右されることはほとんどなく、また、入館前に振り出した雨も入館後は一旦やんだので、タイミング良く中庭の鑑賞もゆっくりできました。
そこには洒落た「カフェテラッツァ」という喫茶店があり、早速モーニングコーヒーで休憩にしました。その後館内を順路のとおり見て周り、旧世紀から伝わるガラス製品の製造技術を始め数々の素晴らしいデザインばかりのガラス製品に見惚れてしまいました。
特に、妻は食器類に関心が深く、気に入った製品があると、そこから動こうとしません。時間があっという間に過ぎ去ってしまいました。ふと気がつくと、お昼の12時を過ぎており、おなかも空いてきました。
箱根湯本行きのバスに乗り込むと、バスはワイパーを動かし始め、また振り始めたようです。駅に到着したときは、もう空腹感に襲われていましたので、すぐに駅前のレストランに飛び込みました。今日は土曜日とあってか、我々が訪れた平日とは打って変わり、駅は次から次へと下車してくる人の波で埋まりそうです。
また、ここ箱根湯本では、この日の11月3日は「箱根大名行列」のお祭り日にあたり、徳川時代の大名の参勤交代の様子が、きらびやかに繰りひろげられる一大時代絵巻だそうで、格式11万3千石、総勢170余名の行列が湯本の町中を一回りするというのです。
このお祭りの見物客と、週末を箱根で愉しもうという行楽客とが重なり、この人波ができたのでしょう。駅周辺にはたくさんの警備員が動員され、人波の整理に悪戦苦闘を強いられていました。我々は帰りの新幹線の時間との関係もあって、この場でいつまでも滞在しているわけにもいかず、出発しようとする電車に乗りました。
電車が小田原駅に到着したときは、すでに雨脚が激しさを増していました。小田原駅とその周辺を見て廻り、雨しのぎに地下街の喫茶店で休憩をとって、新幹線の出発時刻である16時07分までの約1時間をゆっくりと旅の余韻を愉しみました。新幹線の中で食べる夕食の駅弁を買い込み、この度の「箱根道中二人旅」は結末を迎えたのです。
楽しい時間はあっという間に過ぎ去り、残るはひとかけらの旅の思い出だけですが、この小さな思い出を、いつまでも消えることのない思い出金庫に閉じ込めて永久保存しておきたいと思うのです。
最後までお読みいただき、どうもありがとうございました。




